米中対話の経済的部分では、突破口が準備されている。投資協力の詳細に関する合意だ。文書は、今年9月の習近平国家主席の米国訪問に向けて準備されている。一方戦略的対話は、軍事力の削減に向けられたものだ。方向性のひとつについて、ウォーク国防次官は、このところ急速な改善が見られる中国の軍事力への警戒感を示し「中国は、ステルス機や最新鋭偵察機、宇宙での電子戦の手段やミサイルなどの分野で、かなり急激に米国を追い上げている」と述べた。
アメリカ・カナダ研究所のパーヴェル・ゾロタリョフ副所長は、「密接な経済交流の基盤が、たとえ軍事領域で意見の相違があったとしても、米中関係の前向きな発展を後押しするだろう。海上や宇宙空間で先鋭化する軍拡競争が、両国の貿易経済協力にリスクを創り出すとしても、関係発展を助けるだろう」と見ている―
「米国内でよく発達した輸出監視システムは、中国の宇宙領域の発展を可能にするような分野での経済協力を制限するだろう。しかしこの領域では、中国はロシアと十分に協力しているし、軍事テクノロジーと結びついた領域でもそうだ。」
またロシア社会-政治研究センターのウラジーミル・エフセーエフ所長は「恐らく、戦略経済対話の今回のラウンドで、中国は、ハイテク領域における貿易制限を解除するよう米国を説得はできないだろう」と予想し、次のような予想を示した―
「米国にとっても中国にとっても受け入れ可能な歩み寄りの模索が続くと思う。9月に迫った習近平国家主席のワシントン訪問は、何らかの妥協点の発見を可能にするだろう。結果はまず、アジア太平洋ゾーンにおける影響力の範囲の分割だ。この地域は、米国とその同盟諸国と、中国という二つのグループに分かれる。ここでインドがどのような立場をとるかはよく分からない。インドは米国への完全な依存を望まない一方で、同時に中国を押さえ込みたいとも望んでいる。インドというプレーヤーは、アジア太平洋地域のパワー全体の配置に影響を及ぼすだろう。米国は、今のところ中国を押さえこむことはできているが、それはますます大変なことになってきている。それゆえ現在言える事は、影響力が及ぶ範囲が別々になるということ、軍事政治領域での過度な対立からは抜け出すだろうということだけだ。なお今のところ米国は金融経済領域で、中国に対し支配力を持っているが、あと少し時間がたてば、中国は、軍事のみならずこの分野でも米国に追いつく可能性がある。」