フランス国民議会(下院)は23日、第1読会で、フランス市民を監視するための幅広い権限を情報機関に付与する法案を可決した。新法は、情報機関が、インターネットプロバイダーや携帯電話事業者から市民の個人情報を取得することを可能とするほか、裁判所の許可なしに、テロ容疑者の会話を聞くことも可能とする。
法案の採決では、大多数の議員が法案に賛成したが、各政党に反対する議員がいた。また、国際人権団体アムネスティー・インターナショナルも、法案は、「フランスを検閲国家に一歩近づかせる」として、非難した。
法律は、最近、内部告発サイト「ウィキリークス」経由で、米国の情報機関が、長期間にわたってフランスの歴代大統領3人(シラク元大統領、サルコジ前大統領、オランド大統領)の通話を盗聴していたとする情報が流出したことを背景に、フランスの議会両院で可決された。
フランスでは、1月7日に風刺新聞「シャルリー・エブド」の本社が襲撃され、テロ行為や非常事態が続き、法律に関する議論を呼び起こした。