ロシアのメディアが伝えたところによれば、原告の中国人達は、国に一人当たり550万円の損害賠償を求めている。
原告には「花岡事件」の参加者2人と、遺族など11人が含まれている。この「事件」は、第二次世界大戦末期、東北・秋田県の花岡炭鉱で起きたもので、強制的に中国の華北省などから連行され、補助水路建設のため収容所に入れられ手奴隷的労働を強いられていた約千人の中国人が、1945年6月30日、非人道的な扱いや飢餓、警備担当者の暴行に抗議し蜂起したものだ。当局による弾圧の過程で、又その後の拷問により、400人以上の中国人労働者が亡くなった。
日本の無条件降伏後、米国の占領当局は、この事件を調査し、花岡炭鉱管理部の責任者3名に死刑判決を下した。又数名が、懲役刑に服した。そして2000年、戦争中この炭鉱を所有していた「鹿島(カジマ)」は、裁判の結果、被害者を補償するための基金を設立することに同意した。しかし、その後の裁判の中では、日本政府から賠償金の支払いを受けようとする中国市民の試みはすべて斥けられてきた。裁判所は、その理由として、日中両政府が、第2次世界大戦後関係を正常化した際、互いの要求を放棄すると決めた事を根拠に挙げている。
日中両政府が互いの要求を放棄した際の状況について、モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ上級研究員は、次のようにコメントしたー
「中国は、対日関係発展に関心を抱いていた。おまけに、賠償金支払いの代わりに、日本は、中国経済の発展を促すため多額の投資をしている。ゆえに、中国の個人には、今や賠償を正式に求める権利は恐らくないと思う。」