金曜、世論調査機関ALCOが行った調査によると、債権者側の提案の受け入れに賛成というギリシャ国民は全体の44.8%、反対は43.8%だった。これより一足早く行われ、Efimerida ton Syntakton紙で水曜発表された調査では、反対が46%、賛成が37%と、差が大きく開いていた。これを、「結果に影響を及ぼすために操作された数字だ」とする報道も一部に見られた。
国民投票で債権者側の提案が拒否されることは、すなわちギリシャのユーロ離脱を意味する、との見方が強いなか、ギリシャのツィプラス首相は、投票結果のいかんにかかわらず、ギリシャはユーロを離脱する気はない、と宣言した。いずれにせよ、国民投票で債権者側の提案が拒否された場合には、そのことは債権者側との今後の交渉における強力な切り札になる。一方で、ギリシャのヤヌス・ヴァルファキス財務相は、もし国民投票で債権者側の提案が受け入れられたなら、政府は退陣する可能性がある、としている。
ギリシャの債務総額は3500億ドルに上る。うち2700億ドルが欧州中央銀行、IMF、ユーロ圏各国に対する債務である。この三者が交渉におけるギリシャの相手型である。三者は、税率引き上げや予算削減などの緊縮策をギリシャ政府に求めている。こうした緊縮策が導入されれば、長年にわたり経済危機に苦しめられてきたギリシャ国民の生活が、さらに圧迫されることになる。
ギリシャ国内の各都市では、ユーロ圏離脱の賛成派と反対派、双方の集会が絶え間なく行われており、専門家も、どちらがより好ましい選択か、結論を出しあぐねている。欧州全体、世界の金融システム全体が、ギリシャ政府の今後の出方を伺い、停滞状態である。そのギリシャ政府の今後の出方を直接左右するのが、国民投票で示される国民の意思である。