フィリピン対中国:戦いは海でも法廷でも

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7日、オランダ・ハーグの国際仲裁裁判所は、中国に対するフィリピンの訴えについて検討に着手した。なお、この裁判所は、1899年にロシア最後の皇帝(ツァーリ)ニコライ2世の発意で召集されたハーグ平和会議の結果創設されたもので、国際紛争を解決するための機関として最も古いものだ。

今回5人の裁判官の検討に持ち出されたのは、フィリピンの訴えで、この国は、3つの問題の判断を求めている。第一は、 1982年の国連海洋法条約により中国に属している部分の外にある境界線ゾーンの水域、海底、そこに埋蔵される資源に対し、中国が、歴史的に自分達のものだとする主張の無効性についてだ。第二番目は、南シナ海の岩礁周辺に排他的経済ゾーンを設けるという中国の要求は、国連海洋法条約に矛盾するという点である。そして三番目は、そうした中国の数々の要求は、フィリピンの主権と法律に侵害しているというものだ。

すでにこの訴えは、2013年1月にフィリピンにより出されていた。仲裁裁判所に訴え出た理由として、フィリピンの当時の外務大臣は「我々は、南シナ海での中国との争いを平和的に調整するため、あらゆる政治的外交的可能性を使い尽くした」と述べている。

それから2年半、南シナ海の状況は、ますます戦火の一途をたどった。この紛争には、中国とフィリピン以外に、さらにベトナムやマレーシア、台湾そしてブルネイ、さらには部分的だがインドネシアも加わった。しかしなぜフィリピンが、国際仲裁裁判所にまず訴え出たのだろうか? この問いについて、ロシアの政治学者ドミトリイ・モスャコフ教授に意見を聞いた-

「まず第一に、フィリピン人の持つ特性、エモーショナルな面が発揮されたのだ。その点で、彼らは、中国との領土問題で大変控え目な他の東南アジア諸国とは一線を画している。フィリピン人は常に、意外な行動を取る可能性がある。

それ以外に指摘したいのは、フィリピンが、東南アジアで最も親西側的な気分を持った国である点だ。東南アジアの歴史的文化的極としての中国の前に、この国は一度もひざまずいた事がなかった。フィリピンと中国の関係は、深い歴史を持たず、プラグマチックナ現実をベースにしている。フィリピンにとって、米国との関係が中国との関係よりいつも変わらず大切であり続けた。一方米国は、大分以前から、南シナ海での領土紛争を多面的なものに変える事を目論み、その解決のため国家の上に立つ国際的な組織を引き入れたいと考えている。当然そうした組織に対し、米国は支配的影響力を有している。そして米国政府は、南シナ海での緊張が、緊張したレベルでとどまる事に関心を抱いているようだ。」

ここ数年、政治的にも外交的にも、又軍事面でも、この問題への米国の関与が拡大している事がはっきりしている。特に中国との新たな衝突後、フィリピンが 米国に、90年代初めにはいったん拒否した軍事援助を求めた後、 それは顕著になっている。

モスャコフ教授に、再び意見を聞いてみた-

「米国にとって、 フィリピンに軍事的政治的に戻る事は、米中間で行われている複雑で困難なゲームにおける重要な切り札になる。 一方フィリピンにとって、それは、世界で最も無防備な地域の一つで中国に対し圧力を加える強力な道具となる。

米国政府は、中国指導部に対し、自分の手に重要な切り札がある事を見せようと決めたのだろう。それを、自分のフィリピンの同盟者の過激な措置によって行ったのだ。」

中国について言えば、彼らはすぐにフィリピンの訴えを退け、法廷との協力を拒否し、その法的意味を認めていない。国際仲裁裁判所の作業は、中国代表欠席のまま進められている。しかし、こうしたメカニズムは、その憲章により規定されている。

最終的な決定は、来年2016年3月に出される予定だ。

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