安全保障法制や集団的自衛権:地方議会と野党政治家の立場

© AP Photo / Shizuo Kambayashi浜田和幸氏:集団的自衛権、世論は反対が優勢
浜田和幸氏:集団的自衛権、世論は反対が優勢 - Sputnik 日本
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日本のマスコミによると安全保障法制や集団的自衛権の行使容認をめぐり、全国で少なくとも331の地方議会が国会や政府への意見書を可決していることがわかった。「反対」の立場が144議会、「賛成」が6議会、「慎重」は181議会だった。

開会中の通常国会に届いた意見書に加え、全国の議会が6月定例会などで可決した意見書を朝日新聞が集計。集団的自衛権の行使や法案そのものに批判的で、廃案や撤回などを訴える意見書を「反対」、逆に法案成立を訴えるものを「賛成」、慎重審議や国民の理解、十分な説明などを求める議会を「慎重」の立場とした。

7都道府県議会では4県が可決。三重、鳥取、長野が慎重、岩手が反対だった。安倍晋三首相の地元の山口や長崎、秋田は自民・公明などが主導し、賛成の可決をする見通しだ。

全国に1741ある市区町村では、143市町村が反対。愛知県扶桑町は安保法案の制定に「反対」、京都府宇治市は「撤回」などを訴えた。沖縄県南風原町は「『ひめゆり部隊』の悲劇を体験しているだけに『ふたたびあやまちを繰(くり)返させない』との決意を込め廃案を求める」と賛成多数で可決した。

賛成は6市区。東京都町田市は「抑止力を高めることが必要」「平和安全法制の今国会での成立を図るよう強く求める」とし、自公が賛成。豊島区も成立を求めている。

慎重は178市区町村。さいたま市は「慎重な取り扱い」を求める意見書を自民や公明、民主、共産など全会派の賛成で可決した。甲府市は「徹底審議」、愛知県犬山市は「国民的合意」を求めた。

慎重の立場には幅があり、鳥取県の「慎重審議を求める意見書」は「切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備しなければならない」と法案には理解を示す。自公が賛成、民主や共産が反対した。

意見書を働きかける住民の請願や、意見書そのものを否決する動きもある。自民系と公明が多数の宮城県は民主系が出した撤回の意見書を否決。横浜市福岡市も反対や慎重の意見書を否決した。

地方自治法上、地方議会は意見書を国会または関係行政庁に提出できる。意見書に法的拘束力はない。

衆議院が今年になって受理した安保関連の意見書の数は、6月中旬までは70通ほどだった。それが一気に300通を超えた。

その多くが、先月の憲法審査会で憲法学者が法案を「違憲」と断じた点に触れている。反対から慎重まで濃淡はあるものの、最近の法案審議に地方議員が一定の懸念を抱いていることの表れと言える。

国政と同じく、地方議会保守系や自公の議員が多数を占める。彼らが賛同して、意見書が可決された例は少なくない。地域社会に身近な地方議員による異議申し立ては、自公の支持層も含む有権者に、法案の内容や議論の進め方への理解が十分進んでいないことを示している。

安倍晋三首相は9日の東京都内の講演で、集団的自衛権行使を認める安全保障関連法案をめぐり衆院解散・総選挙に踏み切る可能性を問われ「全く考えていない」と述べた。法案に対する国民の理解が進まない現状に関し「議論していくことができれば、理解が少しずつ進むだろう。丁寧に分かりやすく説明したい」と強調した。

だが、有名な日本人政治家の浜田和幸参議院議員の意見では、様々な新聞、ネット上の世論の動きを見ていますと、今の安倍政権が進めている安保法制ついては第1に十分な説明がなされているとは思えないと回答している人が圧倒的に多いわけです。

なぜかと言うと、安倍政権はいわゆる憲法学者といわれる人たちを次々と国会に呼び、今回の安保法制が日本の平和憲法に合致している かどうか、つまり合憲か違憲かという極めてテクニカル、つまり法律的な観点から議論を進めているので、こういう問題はなかなか一般の国民には実はわかりに くいんですよ。砂川判決の事例をひっぱりだしたりしていますが、当時と今では全く安全保障の環境が違っているし、ホルムズ海峡での機雷掃海についてもいろ いろいっていますが、それも多くの国民にとってはぴんとこないんですよね。

でも何が一番問題かと言うと法律、憲法の専門家、学者を次々呼んで、これに内閣法制局の長官が出てきて、それについて法律の専門家 の観点から国民を納得させようとしているので、そこに大きなギャップがあるんですよ。ですから多くの国民が何を議論しているのかさっぱりわからないと答え るのは当然のことだと思います。

ですから今、安倍総理が必要としているのは憲法の専門家の意見だけでなく、国際政治、あるいは広く、日本が直面している食糧やエネ ルギー、環境、サイバーなどいろんな分野で日本の安全を取り巻く環境がドラスティックに変わりつつあることについて、わかりやすく国民に問題提起をして、 今の状況では様々な新たな脅威、課題に十分対応できる仕掛けができていませんよと、これをどうやって抑止力を高めるのか、そのなかで米国との連携プレー、 あるいはオーストラリア、ASEANの国々との協力、また究極的にはロシアや中国、朝鮮半島を含む様々な国との相互理解といったものをどうやって加速させ るか、これが安倍総理のいう積極的平和主義外交の根幹を担うわけですから、そういう大局的観点から国民に分かりやすく丁寧に説明することをやらないと、国民の納得、理解、支持は得られないと思います。」

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