カムランを目指す米国

© Flickr / ePi.Longoカムラン
カムラン - Sputnik 日本
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米国の軍事専門家たちは、ベトナムのカムラン湾への関心を高めている。専門家たちは、カムラン湾について、南シナ海の係争海域に近く、地理的に有利な位置にあるほか、湾の水深の深さは、空母や潜水艦などの大型船を受け入れる能力があると指摘している。ラジオ「スプートニク」のアレクセイ・スュンネルベルク評論員は、この評価は公正だとの考えを表している。

米国は、ベトナムに侵略して、カムランに軍事基地を設置した時代に、カムラン湾の利点を理解した。一方で、最初にカムランの軍事・戦略的な地位を高く評価したのは米国人ではなく、ロシアの船員たちだった。それは、カムラン湾に、露日戦争中に戦場の極東へ向かっていたロシア帝国第二太平洋艦隊の100隻以上の船舶が入港した1905年のことだった。第2太平洋艦隊の船はカムラン湾に12日間停泊し、輸送船によって運ばれた燃料や食料を積み込んだ。当時、岸辺には、小さな村が一つあっただけだった。その村には、郵便局や電信局、また数隻の竹でできたボートがあったものの、住居は粘土が塗られたもので、時折ゾウが訪れて木を倒したり、電柱を引き抜いたり、朝方にはトラの鳴き声が聞こえることもあった。それから60年が経過し、カムランは米国の手にわたり、港湾と空港機能を持つ米国の軍事基地がつくられた。米国は、南ベトナムを失い、カムラン湾を後にし、空港、港、水道、電力などの全ての設備を運び去った。

ソ連とベトナムが、ソ連海軍の艦船と航空機の一時的な基地としてカムランを使用することに関する合意に調印した1979年、ソ連の専門家たちは、再び全てのインフラを構築しなければならなかった。例えば、1987年だけでも、440の建物や施設が稼動を開始した。なお、建設された全ての施設は、ソ連ではなく、ベトナムの所有物とされた。2002年にロシアの基地は閉鎖され、全ての施設がベトナムに無償で譲渡された。そしてカムランは、ベトナム海軍の重要な支援拠点の一つとなった。

2012年、ロシアとベトナムの首相会談で、ロシアがカムランに戻る可能性が議題に上った。その翌年、カムランに潜水艦のメンテナンスと修理のための共同基地をつくる協定に調印がなされた。2014年にはベトナム側が、ロシアの軍艦および船舶がカムランに入港するための手続きを簡素化した。カムランの空港は、ロシアの戦略爆撃・ミサイル搭載機を空中給油するロシアの航空機をメンテナンスするために使用されるようになった。またカムラン湾は、ベトナムがロシアに受注した6隻の潜水艦のうちの4隻の拠点にもなった。これらの潜水艦は、南シナ海における中国の拡張計画にベトナムが対抗している大きな論拠となった。そしてこれらは全て、自国の軍事・政治的活動を東の方向に増加し、南シナ海の係争水域で自国の軍事プレゼンスを強化しようとしている米国のネガティブな反応を呼んだ。米国は特に、ベトナムにおける自国の軍事プレゼンスを復活させようとした。これは偶然ではない。米国の軍事専門家たちは、空母がカムラン湾へ寄港する可能性を特に指摘している。なぜなら米海軍が空母の保有数で世界のトップにあるからだ。

米政府はベトナムに対し、カムランの空港をロシアの航空機が給油のために使用することを禁止するよう提案し、ロシアが「地域の緊張を高める活動を行う」ためにカムランを使用できないよう保障することを求めた。
穏やかに言えば、ロシア外務省は米国のこの立場に当惑した。外務省は、「国の代表者からこのような発言を耳にするのは奇妙なことである。この国の軍は、アジア太平洋地域の国々に常駐しており、地域における自国の軍事活動のレベルを増加し続けている。ロシア空軍の活動だが、これは防衛分野におけるロシア連邦とベトナムの協力と等しく、その活動は、国際的な規範や二国間協定を厳密に遵守して行われており、誰に向けられたものでもなく、アジア太平洋地域の平和と安定を脅かすものではない」との声明を表した。

ベトナムの軍事専門家ル・トヒェ・マウ氏は、ラジオ「スプートニク」のインタビューで、カムランに関する米国の訴えは全く根拠のないものだ、と指摘し、次のように語っている。

「ベトナムは、多くの国と軍事技術協力を行っている。一方で、協力でトップの地位を占めているのは、以前はソ連、現在はロシアだ。ロシアは私たちにとって最も信頼のおけるパートナーであり、ベトナムに潜水艦などの最も効果的な兵器や軍事技術を提供している。私たちは、カムランの軍事・戦略的な利点を熟知しており、今後もベトナムの防衛力を強化するためにカムランを使用し続けるだろう。なお、第三国に対してカムランを使用することは、いかなる国にも決して許すことはない。南シナ海における軍事活動を監視することに関するカムランの可能性だが、この課題については、ベトナム海軍が対処できるだろう」

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