台湾の内情は最近、中国にとって思わしくないほうに進んでいる。昨年春、台湾で、学生たちによる政治運動「ひまわり学生運動」が起こった。これにより、中国との貿易サービスに関する重要合意の批准が阻止された。さらに、野党の民主進歩党が躍進している。中国による台湾の平和統合戦略が重大な故障をきたしていることがまたしても示された形だ。
どれだけ経済関係を強化し、大陸への依存度を高めても、台湾市民への「ソフトな」影響力が依然として足りていない。大陸側は今後も事態の改善、思わしくない政治状況の克服に努めるだろうが、新しい戦略を策定するには時間がかかる。おそらく向こう数年は、中国は台湾問題に苦慮するだろう。
前例どおり、平和統合戦略が大きくつまずくと、中国は、事態のさらなる悪化を防ぐため、より強硬な圧迫政策に活路を求める。台湾問題はあまりにセンシティブなので、中国政府としても他に方策がないのである。両岸関係のステータス・クウォが中国にとって思わしくない方向に変化する、という脅威が顕在化したとき、それがいかなるものであれ、中国は軍事的圧迫という戦略に回帰することを迫られるだろう。
一方では米国が、台湾を中国抑止のファクターとして使う用意を示している。米軍のF-18戦闘機が4月1日に台湾に着陸したことの詳細は不明であるが、米国内外で多くの人が、着陸が非常着陸であったという説を疑問視している。90年代初頭および2000年代中ごろ見られたような緊張が再び台湾を包む可能性も大いにある。おそらくそれは台湾の総統選が終わったあとではじめて起こるであろうが、関係の変化の最初の兆候は今既に見られている。
台湾総統府を思わせる建物が襲撃されている映像が公開されたことは、中国人民解放軍の攻撃力の新しさをどれだけ反映しているのだろうか。特に根本的に新しいことはない。台湾は既に数十年にわたって、中国が第一番に念頭におく軍事衝突シナリオとなっている。台湾を制圧するとは、台湾の主要都市を制圧することである。中国軍は特に、都市部での戦術を重視している。これは公然の事実だ。
そのため中国は、都市部における外国の軍事経験を、手に入る限り研究してきた。台北における行動の様々な計画はここ数年、着々と策定されていただろうし、両岸関係の政治関係とは無関係に、今後も継続されるだろう。台湾制圧の軍事オペレーションへの準備は、台湾の大陸との合体という課題が解決されたはじめて停止されうる。しかし、その準備がどのような形で中国メディアに映されるかは、もちろん、その時の政治状況に依存するのである。