ロイター通信によれば、これは、モルディブに投資を引き込むためになされたものだが、隣国のインド国内では、モルディブの土地は中国人によって買い占められ、そこに軍事基地が作られるのではないかとの危惧の声が上がっている。
先にモルディブでは、99年を限度として土地の賃貸のみが許可されていた。しかし新しい法律により、10億ドル以上投資する外国人は、その70%以上が沖積地である土地を永久に所有する事ができる。そして全部でモルディブの領土の10%以下であれば、外国人に売っても構わないとされている。
モルディブ政府は、こうした改革により、国の特別経済ゾーンに投資を引き込むことができ、それによって経済の多角化を促し、観光業のみに依存する体質から抜け出したいとしている。しかし議員の中には、この法律を自分達の利益として利用するのは、モルディブ人ではなく中国人だと指摘する向きもある。
モルディブに対する中国の政治的関心については、習近平国家主席が、昨年9月に行った公式訪問が物語っている。その際モルディブは、中国企業による首都の空港の近代化プロジェクトに同意するなど、中国側の様々な提案を討議した。モルディブと中国は「海のシルクロード」構想でパートナーとなる事で合意した。これによりモルディブは、中国の福建省から南アジア及び東アフリカを通り地中海に達する海の通商路に含まれることになる。
さてインドだが、中国との間に未解決の問題を抱えたこの国は、中国人投資家がたくさんの土地をモルディブで買い占め、それにより中国のプレゼンスが、インド洋でも顕著となる事を懸念している。しかしモルディブ政府は「土地は国に対してではなく、個人に売られるものなので、それによって中国という国家のモルディブでの立場がすぐに強くなるというのは、時期尚早だ」と強調し、インドの不安を打ち消している。