大使は次のように述べた。
「我々は反対票を投じる。これに関しては私には疑いがない。もし決議が9票以上が集まればそれは拒否権の発動になるし、それ以下なら単に他の安保理理事国とともにする反対票となる」
「ただ、マレーシア提出のこの決議案が、そもそも投票に回されないことを期待したい。投票などしても何の利益があるのか私には全く分からないからだ。我々が公然と推し進めるこの主張は、極めて説得的と思う」
先の報道では、チュルキン氏は、「法廷開設を主張する人々は、ボーイング機の墜落を国連憲章第7条の規定する「国際の平和と安全に対する脅威」に当てはめようとしている。しかし、法律家諸氏によれば、単一の行動がそのように規定されることはあり得ない。よって国連安保理は、何らなすべきことがないのである。しかも、そのような規定は、ボーイング機墜落後に採択された第2166号決議にはないのであって、後知恵でそれを持ち出すのは正しくない」と述べている。
またチュルキン氏は、「民間機が墜落することはこれまでにもあったが、一度として国際法廷が開かれたことはなかった。時には裁判手続きが一切とられないこともあった」と述べた。たとえば1988年にスコットランド上空で民間機が爆発した、いわゆる「ロッカビー事件」では、「国連安保理が関連していくつかの決議を採択したにも関わらず、誰も国際法廷の設置を問題にしはしなかった」。「このときは裁判はオランダで、スコットランド法にもとづいて行われた」とチュルキン氏。
マレーシアは先に昨年7月ウクライナにおけるMH17機墜落事故に関する国際法廷の開設を求める決議案を提出していた。マレーシア航空の国籍国たるマレーシア、豪州、オランダ(死者298人の大半がオランダ国民だった)、ウクライナ、ベルギーが法廷開設に賛成している。