ロシア市場は、欧州産の花々に対して閉じられていなかったが、西側の生花業者らは、すでに不安をつのらせている。彼らにとって世界最大の市場の一つを失う恐れがあるからだ。ロシア国内での生花の売り上げは、1600億ルーブルを越えると見られており、そのうち80%が外国から輸入した花で占められている。
EUから入ってくる花の中からは、定期的に害虫や病気が見つかる。その中には、カリフォルニア・アザミウマというものがある。これは、体長1ミリ以下の微小で細い体型の昆虫で、翅は膜質でなく棒状の本体に細かい房状の毛が羽毛のように密生する形になる。この吸汁性害虫は、植物の汁を吸い、花ばかりでなく特に野菜や果物に大きな被害を与え、何ヘクタールもの畑を絶滅させる恐ろしい存在だ。
また「白さび病」も恐ろしい。この病気は、葉に伝染し、収穫量を本質的に下げてしまう。ロシア農業監督庁のデータによれば、この病気に感染した植物の半分以上は、オランダから入って来るものだ。
なお種や球根の輸入禁止については、今のところ述べられていない。しかし専門家達の間では「オランダ産生花の独占状態が、経済的のみならず生物学的な脅威だ」との声が益々高まっている。オランダには世界中から植物が集まるため、互いに珍しい病気がうつってしまう。その結果、オランダのチューリップを買うと、それと一緒にアフリカあるいはアメリカの寄生虫まで家に持って帰ってしまうという事も起こり得る。
ロシア農業監督庁は、欧州の生花業者に対し「まだ状況を改善する時間がある」とアドバイスしている。週末までに生花輸入を制限するという、いかなる計画も、まだ今のところない。