ロシアと中国 欧州の過ちが繰り返されるとアジアに警告

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ロシアと中国は、東アジアサミットで、アジア太平洋地域における不可分の、つまりブロック別に分かれる事のない安全保障機構創設を提案する。これはロシアのイーゴリ・モルグノフ外務次官が述べたものだ。東アジアサミット(EAS)外相会議及び、閣僚レベルでの様々なアセアン・フォーラムは、マレーシアの首都クアラルンプールで8月5-6の両日開かれる。ロシアを代表して、セルゲイ・ラヴロフ外相が参加する。

ラヴロフ外相によれば、ロシアと中国は、対等で不可分の安全保障を前進させるためにアジアでの共同努力を拡大させる必要があると考えている。外相は、ロ中両政府がすでに、この問題においてアセアンの一連のパートナー国から支持を確保したことを示唆した。ロ中のイニシアチブの意義は、欧州で形成されてしまったような状況になるのを許さないという点にある。欧州では、欧州安全保障のあらゆる機構を含む包括的な構築物を、NATOという軍事ブロックに置き換えようとの試みがなされている。欧州諸国には、NATOこそ地域の安全を保障するものだと考えるよう提案されている。その際、NATOに加盟していない国々は、そのシステムの外に置かれ、問題解決への発言権を失ってしまう。

モスクワ国際関係大学アセアン・センターのヴィクトル・スムスキイ所長は、ラジオ・スプートニクの取材に対し「ロ中両政府の共同イニシアチブは、欧州の人々が犯している過ちをアジアは繰り返さないようにしようとするものだ」と指摘し、次のように続けた-

「中国とロシアの共同イニシアチブとして、それはかなり強力なものだ。それは、かつてロシアがアジアにおける集団安全保障システム創設について提案し、中国がそれを支持した時とは、異なっている。今回、それはロシアと中国の共同のイニシアチブである。そのことは、これまでのものとの質的違いを物語っている。つまりブロックを越えた機構体を作るということだ。米国と地域の国々との2国間連合をまとめたもの、あるいは何らかの新たな機構体がアジアにおいて安全の保障者となり、残りのすべてはそのもとに置かれないといった状況を許さないよう、提案がなされている。しかし一方で、もしアジアにおける安全保障機構体の外に、ロシアと中国といった2大国がある場合、地域の安全をコントロールしようと、どんなフォーマットが作られたとしても、それらが、地域の安全保障システムの主導権を持つことはできないだろう。」

アセアン閣僚フォーラムにおいて、ホットはテーマの一つになるのは、恐らく、南太平洋における中国の活動だろう。特別声明採択という試みがなされるか、それともアセアン・サミットの総括宣言の中に、係争中のスプラトリー及びパラセル諸島海域に中国が人工島を作った事への非難が盛り込まれる可能性もある。

ラジオ・スプートニク記者は、ロシア科学アカデミー極東研究所のエキスパート、ドミトリイ・モスィヤコフ氏に話を聞いた-

「こうした事すべては、もちろん、これらの島々に接しているフィリピンやベトナムといった国々を最大限神経質にさせている。一方アセアンの他の国々は、南シナ海での状況に、あまり関心を持っていない。彼らはむしろ、中国との経済関係や自由貿易ゾーンの拡大といった方を心配している。こうしたすべての事は、当然、アセアンの内部に、この問題をめぐる潜在的分裂状況を創り出している。原則として、そうした分裂は、かなり前から指摘されていた。2012年のカンボジアでの有名なサミットでのことだ。あの時、アセアンの歴史上初めて、サミットを総括するいかなる共同宣言も出す事が出来なかった。結局宣言は、2週間後に日付をずらして採択されたが、会議参加者は皆、議長国カンボジアが文書案を準備しなかったと非難した。アセアン・中国関係の将来にとって、南シナ海での紛争は、まさにアクチュアルな問題なのだ。」

分析専門家らは、クアラルンプールでは南シナ海での領土紛争をめぐる反中国統一戦線が生まれるよう、米国政府がアセアンの一連の国々に対し、陰で圧力をかける可能性も有り得ると指摘している。ここでまず注目すべきは、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カンボジアそしてミャンマーへの米国の「工作」だ。これらの国々は、中国に対するフィリピンやベトナムの激しい非難を支持する事から、距離を置こうと試みているからである。

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