TPPの未来の加盟国の一つにベトナムがある。ニューヨーク・タイムズ紙はTPPに関する記事の中で、大筋合意の際に最大の譲歩を行うのは、ニュージーランド、マレーシア、そしてベトナムだと指摘している。ベトナム国家大学ハノイ人文社会科学大学のファム・クァン・ミン副学長は、この状況について次のようにコメントしている。
「これは本当のことだ。一連の重要な分野でベトナムは米企業の言いなりになって譲歩している。例えば、ベトナムの輸入では繊維・衣料品が大きな部分を占めているが、TTP協定は、生産者に対してTPP加盟国からのみ原材料を調達することを義務付けている。米国では、繊維産業用の原材料が南部の工場で生産されているが、これらの工場は衰退している。ベトナムは現在、中国やタイから原材料を調達しているが、これらの国はTPP参加国ではない。TPPに加盟した場合、ベトナムは米国から原材料を調達しなければならなくなる。そして米国のビジネスがサポートを受けるということだ。
ベトナムの『パンガシウス』という魚も同じ状況にある。このパンガシウスの輸出は、現在悲惨な状態にある米国の生産者たちのために制限される。このような例は他にもある。それでもベトナムは、TPP加盟を重視している。なぜならTPP加盟によってベトナムのビジネスには多くの国の市場が開かれるからだ。これは既存のものよりも高い経済統合の新フォーマットだ。TPPへの加盟は、ベトナムの国内総生産(GDP)の成長や、ベトナムへの外国投資の流入を約束する。現在、外国からの投資の流入が減少している。これが深刻な経済困難を引き起こし、政治的困難に変わる恐れもある」。