日米の友情を脅かすは「ウィキリークス」にあらず、米国の果てない地政学的野心なり

© AP Photo / Pool photo via APケリー米国務長官
ケリー米国務長官 - Sputnik 日本
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クアラルンプールでの岸田外相とケリー米国務長官の会談では南シナ海における緊張緩和、また北朝鮮の核ミサイルプログラム問題に関する二国間協力が確認されたほか、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の総括合意の締結にむけ、二国が尽力を傾ける重要性が強調された。

ウィキリークスからは日本の政治家、高官、企業家が米国の国家安全保障局(NSA)によって盗聴されていた事実がマスコミへと流されたが、ラジオ「スプートニク」の予想通り、これによって日米関係が冷却化することはなかった。安倍首相は性急な帰結を出さず、まずは米国の友人らに対し、いかなる目的をもって忠実な日本という連合国にスパイ行為を仕掛けたのかを確かめると約束した。

モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は、安倍氏は、自身にとっては、中国の威力が伸長する中であまりにも重要な米国との協力を壊さないという安倍氏1人の邁進も、二国間関係問題から連合国を守ることはないだろうとの考えを示し、次のように語っている。

「クアラルンプールで岸田、ケリー両外相によって示された3つの方向性の協力では、米国と日本を水面下の石が待ち受けている。

まず、北朝鮮の核ミサイルプログラムから取り上げよう。そもそもこの問題が作られている中に欠陥が潜んでいる。なぜなら真剣には、こうした問題は存在しないからだ。現段階でも近未来でも北朝鮮が朝鮮半島からはるか遠く離れた米国はもちろん、全く近くにある日本の安全をも脅かすことが出来るようなミサイル核軍備を備えることは不可能だ。

それに北朝鮮自体、そうしたものを作ろうと殊更努力しているわけではない。それは日本や米国に核ミサイル攻撃を行ったところで、一瞬のうちに北朝鮮全体の壊滅を招くことをよく理解しているからだ。これを日本も米国もよく理解しているが、北朝鮮の脅威をあまりに誇張するのは、彼らがそれを中国、ロシア抑止向けの軍備拡張を正当化するために使っているからだ。

ところが日本には南北朝鮮は特別な価値を持っている。遅かれ早かれ、韓国は北朝鮮に敵対関係を築くことは有益ではないと気づき、民主主義者によってすでに開始されていた協力政策に戻るだろう。これは『南北朝鮮連合』を経済の強力なプレーヤーに仕立て上げるものであり、こうしたものとは日本は友好関係を保つほうがよい。それにそのスタートはすでに現時点で切っておかねばならず、韓国とも北朝鮮とも関係を築いておくほうがいい。もちろんのこと、これは米国の気にいるところではない。

日本が、南シナ海における中国の野心を抑止する米国を支持しようとすることは、疑いも無く米国の国益に叶っている。だが、こんなふうに日米があくせくしたところで、中国がアジアのこの一隅に狙いをつけることを止めるなどということはまず生じないし、これがこの場所の緊張緩和につながることは絶対にない。

第2に、日本は自国にとって好都合な、中国を加えた二国間ないしは三カ国間経済地域連合を形成することを先延ばしにしているか、または全くふいにしている。本来であればそうした連合は、少なくとも米国との連合に劣らず利があるはずなのだ。このため南シナ海の状況から日本は距離を置き、そのかわり尖閣に問題においては中国と正面切って話をつける必要がある。

そして最後にTPPだが、その総括合意を達成しようという日米の尽力は確かに重要だ。問題はただ、なぜこれが日本に必要なのかということだ。米国にそれが必要なのはわかりきったことだ。TPPという形でアジア太平洋の半分の人口を確実に管理できるメカニズムを手に入れられるからだ。もちろん、管理の対象には日本も入る。だが、なぜ日本にこれが必要なのか? どうやら日本はこれについては今のところ、あまり真剣に考えてはいないらしい。

だが米国の指導下でこの3つの方向性で日本の動いた場合、もたらされる損得を換算すると、動きの過程でもフィナーレでも得をするのは米国人となる。得をするのは一方だけで、他方は損をするのであれば、こんなパートナー関係なぞ、一体何だろうか? これのどこが友情なんだ?」

 

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