豪州の天文学者サイモン・ドライバー氏とその研究チームによれば、宇宙が少しずつ暗くなり、死につつあるという事実そのものは、既に90年代末から学界では言われていたことであり、新しくもないが、そのプロセスの詳細や、死の速度および規模はこれまで未解明だった。しかし死はたしかに進行中である。近隣の銀河を地上および宇宙にある数十の望遠鏡で調べた結果、宇宙の暗くなる速度も割り出すことができた。
地球から20億光年内に位置する22万個の銀河から出てくる光線の強さが評価できた。異なる時期で明るさを比較したところ、23億年前は周囲の宇宙はおよそ今の2倍、可視光線その他のエネルギーを多く放出していた。宇宙は暗くなっており、100兆年後には「死んだ」状態になる。いわゆる「縮退期」だ。そして、非常に暗くなる。このとき銀河の住人として生き残り、「世界」を構成しているのは、ブラックホール、白色矮星、褐色矮星、中性子星といった縮重天体、それから生き残りの惑星である。やがて惑星たちは崩壊し、白色矮星および中性子性は超重力のブラックホールと合体し、銀河の中心に君臨する。ここに宇宙の生命の、最後から2番目の段階が到来する。ブラックホール期だ。この時代も、2×10の99乗年という気の遠くなるような時間の果てに終わる。この間にブラックホールたちは蒸発し、以後は電子、陽電子、光子が宇宙の唯一の住人となる。