中銀によれば、一度きりの措置であり、元の自由化が大きく進む。これまで中銀の推奨レート制により元の変動はプラスマイナス2%に制限されていた。
アナリストらによれば、この措置は、中国当局が経済成長率を不安視していることのあらわれだ。人民元安で、たとえば、7月に年換算で8.3%も暴落した輸出が支えられる。
中国の金融当局は元の国際化という潮流を後押しするために、2つの要因に機動的に反応する用意があるようだ。そう語るのは現代発展研究所のニキータ・マスレニコフ氏だ。
「理屈で言えば、中国は元変動制へと動くべきだ。つまり、より変動幅を緩くすることから初めて、元を自由変動させる。現状では、元はドルの変動とも強く結びついている。今回の措置はどうやら、金融通貨市場における景気変動に対して元をより弾力的に変動させるという意味のものらしい。Forexの利率が上昇する見込みがあればなおさらだ。それは確かに途上国の通貨全体の暴落となる。中国の金融当局としては、変動幅を広くして、元のレートが、厳しく言えば、市場で決定されるようにすることが非常に重要なのだ。それは金融界が今も昔も待ち設ける中国の市場開放に向けた一歩となる」。
現在中国の金融当局は人工的に、ドルに対する元のレートを急落させ、前日の1ドル6.11元を、6.22元とした。世界における中国の競争力を高める措置だ、とロシア科学アカデミー国際政治世界経済研究所のアレクサンドル・サリツキイ氏は語る。
「どうやら既に輸出業者らが、元がこのままでは収入が減ってしまうと苦情を言ったらしい。中国の産業ロビーの大部分、製造部門の大部分、とりわけ輸出業者は、中国の金融システムそのものに深く依存していた。中国は早くからそのことを公言し、これまで是正に取り組んできたが、それは金融システムそのものの問題でなく、中国が経済成長の心臓と見なす産業部門の利害に適っていたのである。元が下がるとなれば、まず得をするのは輸出業者である。市場をほんの少し拡大すれば、輸出は増大する。それはそう悪いことではないだろう。価格下落のせいで、世界貿易は取引所で重苦しい空気を呼んでいるのだから。よって、元の下落は、世界経済にはプラスとなると思う。もっとも、誰かが中国のことを為替操作、保護貿易主義といって非難することもあるかもしれない。そういうことはままある。しかし、そうだからといって、中国がしようと思ったことを中止することはないだろうと思う」。
これは滑らかな切下げである。7月を見る限り、元は過大評価されていた。輸出は8%以上も下がった。もちろんこれは強い通貨の価格である。よって、分析家諸氏に中国のGDP成長率を6.5-6.8%と考える口実を与え、停滞要因になっているこの経済状態を支えるためには、純輸出の貢献こそが、GDPを成長させるための肯定的な要素となる。