その対策としてベトナムとカザフスタンは変動相場制への移行を決め、両国通貨の対米ドル為替レートが下落した。変動相場制を採用しているトルコと南アフリカでは、両国の通貨がさらに下落した。専門家たちは、さらに10カ国の通貨が、現在の状況を背景に弱い立場にあると指摘している。
まずロシアおよびカザフスタンと緊密な貿易関係を持つ旧ソ連圏のトルクメニスタン、タジキスタン、キルギス、アルメニアの4カ国の通貨が挙げられている。ロシア通貨ルーブルとカザフスタン通貨テンゲの下落は、これらの国々に更なる圧力を与えている。スウェーデンの大手銀行SEB ABによると、トルクメニスタンの通貨マナトとタジキスタン通貨ソモニは、今後半年間で最大20パーセント下落する可能性があり、アルメニア通貨ドラムは、最近12ヶ月で15パーセント下落したという。
続いて、石油や金属を輸出しているアフリカ諸国のナイジェリア、ガーナ、ザンビアの通貨の先行きが危ぶまれている。多くのアナリストたちは、ナイジェリア通貨ナイラが過大評価されていると考えており、今後12ヶ月で20パーセント下落するとの見方を示している。ジンバブエ政府は近いうちにも、通貨クワチャの価格を下げせざるを得ない可能性があるという。なぜならジンバブエの輸出収入の約70パーセントを、主に中国への銅輸出が占めているからだ。エジプト・ポンドもうらやむに足らない状況にあり、今後1年間で22パーセント下落する可能性があるという。エジプトでは2011年の政変後に投資家たちが去ってしまったため、投資が足りていないことも状況を悪化させている。
トルコ通貨リラは、中国人民銀行が人民元を切り下げた8月11日から、米ドルに対して世界で最も悪い動きの一つを示している。専門家たちは、トルコの政治的不透明感を背景に、このような傾向は今後も続くと予測している。トルコでは近いうちにも前倒し選挙が実施される可能性がある。
そして最後に、マレーシアのリンギットも投資家たちの懸念を呼んでいる。20日、リンギットはドルに対して17年ぶりの安値となった。なおマレーシア政府が自国通貨を支える可能性は限られている。なぜならマレーシアの外貨準備は2010年以来はじめて1000億ドルを下回ったからだ。