米中 世界同時株安ショックの責任について互いを非難

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中国の習近平国家主席の米国訪問を前に、ワシントンと北京の間で新たな「神経戦」が始まった。その原因は、もちろん世界を揺るがす同時株安だ。中国人民銀行付属財政研究所のヤオ・ユイドゥン所長は「9月に金融政策を引き締めようとの米連邦準備制度(FRS)の意向が、世界市場での株価の大幅下落の主な原因となった)と主張している。

中国の政府系新聞「チャイナデイリー」は26日、専門家の見解を引用し「FRSの基準率の引き上げ(利上げ)は、コントロールできない市場の動揺を挑発する」と報じた。その専門家は「金融政策の引き締めは、

米国株の下落を引き起こす可能性があり、それに続いて、世界中で大量の株が売られ、その結果、新たな世界金融危機が起こるだろう」と予測している。

世界の株式市場における米国のあいまいな態度に対し、中国が批判したのは何も今回が初めてではない。所謂「ブラックマンデー」に、上海や深センの市場が史上最安値を記録した直後にも、中国国営新華社通信は「記録的な株価の下落は、その前に起きた米国市場でのかなりの下落の影響を受たものだ」と伝えている。

FRSのあるエクルズ・ビル - Sputnik 日本
中国人民銀行、米連邦準備制度は世界証券市場の下落を誘引しかねないと非難
一方同じ日、ホワイトハウスのエルネスト報道官は「中国での株価指数のドローダウンには、政治的意味合いもある」と指摘し、「中国政府は、自国経済を人為的に操りながら、市場における自由な下落を抑えている」と述べた。そうしたことを背景に、米国の権威ある専門誌「Foreign Policy」は、間近に迫った習近平主席の米国訪問を「喜びのないもの」と呼んでいる。

ロシア現代調査研究所のエキスパート、ニキータ・マスレンニコフ氏は、今後について「米中間の非難の応酬と世界株式市場における危機の更なる政治化は避けられない。すべては、中国人民銀行と米国連邦準備制度(FRS)の、近い将来の行動がどれだけ透明性のあるものとなるかにかかるだろう」と指摘し、次のように述べたー

「すべては、中国がその金融政策にどれくらいの明確さを持ち込めるか、それ次第になるだろう。まず第一に、どこでいつどのように中国が、金融部門での構造改革を実施するか、はっきり指示できるのかという点にかかっている、全世界の市場参加者の期待感に、米国FRSもかなりの程度、確実性を提供できる。重要なのは、9月に利上げするのか、あるいはしないのか、はっきりさせることだ。少なくとも、市場は、近い将来FRSがどう行動するか理解できることから、沈静化し始めるだろう。もしFRSがそう行動すれば、中国人民銀行や他の中央銀行がどう行動するか、読めるというわけだ。そうなれば、数々の調整機関がどう行動するか、その全体像が見えるようになる。実際、安心し一息つけるだろう。FRSの公開市場に関する委員会は、9月16-17両日開かれる。この時までに、世界の金融界に何らかのはっきりしたシグナルを送ることが極めて重要だ。」

多くの人々は、今度の土曜日にも、米国最高の山岳リゾート地の一つワイオミング州ジャクソンホールで行われるカンザスシティー連銀主催の年次経済シンポジウムで、連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシャー副議長が、明確な発言をするのではないかと期待している。市場安定化に向けた中国の新たな行動と共に、こうしたニュースは、状況を若干安定化させるかもしれない。少なくとも投資家の頭の中には、ある種明確なイメージが生まれるだろう。もしそうなれば、今後の状況において、伝統的な市場の矯正能力が働くと見られる。

ロシア現代調査研究所マスレンニコフ氏も、ほぼそう考えているー

「とはいえ今のところ、事態がそう発展する可能性が50%あると指摘している分析専門家は、そう多くはない。中国人民銀行が遅れる場合があるかもしれない。またFRSの声明、それよりむしろ行動が遅れるかも知れない。それに付け加えて、どこかの大手金融機関が、2008年のリーマン危機の前にあったように破綻するかもしれない。そうした場合、かなり大きな可能性として言えるのは、我々は今、世界経済全体にとってひどく好ましくない出来事のきわにたたされているのだ、ということだ。」

北京と東京、連動して動揺か - Sputnik 日本
北京と東京、連動して動揺か
世界の株式市場における米国の態度の揺れを批判しながら、中国は、自国の状況に緊急対応している。預金やローンの金利が下げられたし、銀行向け支払い準備制度の基準量も減らされた。こうした措置は、市場の流動性を元気付けるに違いない。それがなければ、上海や深センの株式市場における新たなドローダウンのリスクは高いと言わざるを得ない。

また同時に、市場投機家に対する攻撃も強化されている。中国最大手の投資会社CITIC Securities(スィティク・セキュリティーズ)の職員8人が一度に「有価証券の不法な取引」に関与した疑いを持たれ、取調べを受けている。警察発表によれば、彼らは、偽の証券を準備し販売し、さらには先物取引に関するウソの情報を流したとの事だ。

もう一つのスキャンダルは、国家有価証券監督委員会の現役職員及び元職員に関するもので、彼らは、市場や統制に関するインサイダー情報を売った疑い、さらには公式文書及び委員会の印鑑を偽造した疑いが持たれている。

中国の最高指導部は、今のところ「ブラックマンデー」や、それに劣らず悲劇的だった火曜日の出来事の原因や影響に関するコメントを一切出していない。しかし李克強(リー・クーチアン)首相は火曜日「現在人民元の下落がさらに続く根拠はない。政府は、安定レベルでのレートを支える」と約束した。

これは投資家にとって、肯定的なシグナルだ。ホワイトハウスにとっては、あらゆることから判断して、新たな苛立ちの種といえるだろう。つい最近の人民元の切り下げを、彼らは敵意を持って受け取った。なぜなら米国市場での、中国の輸出業者の立場が強まるからだ。オバマ大統領は、この問題を、9月に予定されている習主席の米国訪問の際、交渉の主要テーマの一つとして提起するに違いない。

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