「北京でのパレードは、日本政府や、まして日本国民に向けられたものではない」

© REUTERS / Damir Sagolj「北京でのパレードは、日本政府や、まして日本国民に向けられたものではない」
「北京でのパレードは、日本政府や、まして日本国民に向けられたものではない」 - Sputnik 日本
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9月3日、北京の天安門広場で、中国史上初めて、抗日戦争勝利70周年を記念する大規模な祝賀軍事パレードが行われた。なぜ中国は、他の国々よりも早く、すでに1937年に戦争に巻き込まれていたにもかかわらず、そしてソ連に勝るとも劣らない人的犠牲を払いながらも、これまでこうしたパレードをしなかったのだろうか? これまで中国社会では、戦争についての記憶が語り伝えられなかったのだろうか? ラジオ・スプートニク記者は、この問いを、モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学の副学長で中国史の専門家、アンドレイ・カルネーエフ氏に向け、聞いてみた。

カルネーエフ氏は、次のように答えてくれた。以下抜粋して、皆さんに御紹介するー

プーチン大統領、軍事紛争を最小化するために大戦の教訓は記憶されるべき - Sputnik 日本
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「これまで勝利の軍事パレード実施という伝統が無かった理由について、次のような事が推論できる。中国は、他の反ファシスト連合国同様、1945年に勝利したのだが、当時この国を支配していたのは国民党政府だった。共産党が政権を握るのは、内戦の結果、国民党政権が打倒された後の1949年だ。恐らく、そうした状況からくるデリケートな問題があるのだろう。抗日戦争中の国民党の役割を、あらためて評価する必要があるからだ。この事が、長い間、抗日戦争終結にあたっての行事実施を妨げてきたのだろう。

今になって中国当局が、第二次世界大戦を総括する解釈を転換した理由について、中国の、そして外国のコメンテーターの見解は同じく、大きく二つに分かれている。一つは、パレード実施の目的は、今や世界第二の経済大国となり、増大した中国の世界政治における意義や、あらゆるグローバルな諸問題への中国の関与を強調する事にあった、とするもので、もう一つのファクターは、極めて複雑で難しい日中関係、とりわけ安倍政権との関係によるもの、との見方だ。中国は、安倍政権は、軍国主義復活に向け国を導いていると捉えている。

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実際、ここ何年も日中関係は、まるでジェットコースターのように変化している。激しくお互いを非難し合い、怒りのデモが巻き起こるかと思うと、状況が比較的安定化する、ということの繰り返しだ。ついでに言えば、中国のマスコミは、北京でのパレードは、中国社会のために自分達の勝利の意義を強調するためのもので、日本政府や、まして日本国民に向けられたものでは決してないと説明している。

若干の観測筋は、9月3日のパレード実施の理由は、主として国内的なものだと見る傾向がある。彼らの意見によれば、習近平国家主席は、中国人の愛国主義と民族主義を再生する事で、縦型の権力機構を強化し、自分の権威を強化したいのだ、とのことだ。祝賀行事は、中国人民を団結させ、容易でない経済問題から国民の目をそらすものでなければならなかった。こうした解釈の正当性を云々するのは難しいが、今回行われたパレードが、中国国内で進行中の、一連の歴史的評価の見直しを反映したものである事は疑いが無い。主としてそれは、侵略者との戦いにおける国民党の重要な役割を認めるという事に関係したものである。

今後、抗日戦争の時代を含め、中国の最近の歴史を再考するプロセスがどのように進展して行くのか、推測するのは、当然ながら難しいだろう。しかし、今すでに明らかな事は、2015年9月3日の祝賀行事が、そうしたプロセスにおいて記念碑的なもの(ランドマーク)になったという事だ。」

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