シリア難民「墓3基と思い出のほか自分の人生には何も無い」-スプートニクへのインタビュー

© AP Photo / DHAシリア難民:墓3基と思い出のほか自分の人生には何も無い
シリア難民:墓3基と思い出のほか自分の人生には何も無い - Sputnik 日本
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トルコからドイツに逃げる試みの中で妻とふたりの息子を失ったシリア難民アブドゥラ・クルディ氏が悲劇の顛末をスプートニクに語り、外国に亡命しようとする無実の人々を死なせないよう、国際社会に訴えた。

氏は地中海経由でトルコからドイツに逃れようとした2艘の難民ボートのひとつに家族と乗っていた。しかし時化でぼろ船は横転、子ども8人を含む12人が死亡した。氏は妻とふたりの息子を失った。小さいほうの息子アイラン君(3歳)の遺体はトルコのリゾート地ボドルムに打ち上げられた。その写真が世界の主要メディアで伝えられた。

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「2012年まで家族でダマスカスに住んでいた。戦争が始まり、生まれ故郷のコバニに移ることにした。のち私は仕事でトルコに移った。妻と子どもたちはコバニに残った。イスタンブールでは建設現場で働いた。昨年、イスラム国がコバニを攻撃しはじめると、すぐにイスタンブールに家族を呼び寄せた。生活は苦しかった。給料が少なかった。上の姉がスイスに住んでいる。下の弟はカナダだ。姉は移住を呼びかけた。私たちはそれに応じた。

難民の移送を担当する人を探した。彼がボドルムの密輸入業者に我々を紹介してくれた。この男が我々を山間部に連れて行き、ここから出発するのだといわれ、一人当たり1200ドルをとられた。さて真夜中ごろ、小船に乗り、岸を離れた。13人が乗っていた。そのうち波が非常に高くなってきた。案内人はすぐに海に飛び込み、泳いで逃げた。波は高まる。小船がひとつ転覆した。パニックになって叫んだ。子どもたちを落ち着かせようと大声をあげた。怖がるな、大丈夫だ、と。30分が経っただろうか、それまで何とか子どもたちを水に浸からせず、浸水を防いでいたが、ある瞬間に私を残して子どもたちは水面下に隠れてしまった。引き上げると、もはや死んでいた。泳げる者は助かった。沿岸警備が私を見つけるまで、私は3時間半も海に取り残されていた。

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私は今、あの密輸入業者を見つけようとしている。ドイツに連れて行ってくれると言ったあの者を。あいつが家族の死をつぐなうべきだ。もちろん危険な旅だと知っていた。しかし、難民は皆欧州に無事にたどりついている、と膨大な例を挙げられて、自分たちももしかしたらと期待してしまったのだ。

私は近親者の遺骸を集めた。今日、故郷のコバニに帰るところだ。そこで遺骸を埋葬するのだ。もはや私の人生には、墓3基と思い出のほか何にもない。
世界に求めることはただひとつ。この悲劇を終わらせること。異国に避難しようとする無実の人々を死なせないようにすることだ。子供たちは死んでしまった。どの家族にも子どもはいる。子どもが死んではならない。世界はこの悲劇を終わらせるべきだ」

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