聨合ニュースの情報から、韓国の実習は北朝鮮との軍事境界ゾーンで行われることがわかる。また韓国は演習再開の必然性として、いかにも北朝鮮が10月の朝鮮労働党結成70周年を記念し、超強力なミサイル発射を行うからだとかこつけている。
モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級学術研究員のアンドレイ・イヴァノフ氏は、最近の韓国の北朝鮮に対する行動には驚きを禁じえず、韓国政権はわざと状況を悪化させ、半島の緊張を起こそうとしているのではないかという疑念がわくとして、次のような見解を表している。
「つい最近8月、韓国は北朝鮮との国境付近に据えつけた拡声器を通し、反北朝鮮プロパガンダ放送を再開し、すんでのところで砲撃を受けるところだった。これによって韓国が何を得たのかはわからない。北朝鮮国民をこうした方法で政権転覆に駆り立てることは不可能だ。だが金正恩氏や北朝鮮の元帥や将官らを怒り心頭させることは簡単だ。その結果、北朝鮮は拡声器をロケット砲で破壊すると脅し、韓国は無駄な宣伝プロパガンダを取り下げた。
残念ながら、北朝鮮指導者らが同等の対話を行うよう米国に働きかけたいとおもっても、それはかなわないだろう。だが韓国がその境界線で軍事演習で脅かして北朝鮮をたしなめようとしても、北朝鮮の士気を高めるだけで何もならない。本当は韓国だって本格的な軍事紛争など、まして戦争など望んでいないと断言しているが、プロパガンダの再開や境界線近くの演習は十分に紛争を招きかねない。韓国はこんなことがわからないほどナイーブなのだろうか? そんなはずはない。となると、韓国では今、北との対話など不可能であり、経済的手段で相手の首を絞めるか、軍事的手段でやっつける可能性を信じる軍人、政治家の立場が強まっているのではないかという感触がある。だが経済的な手段でのど元をしめるのは、北朝鮮経済がここ数年、目だって強化され、事実上、国家資本主義が建設されていることを考えると絶対に不可能だ。それに中国も、自国の連合国の周りに経済封鎖など許さないだろう。では北朝鮮に対して軍事作戦でもとろうものならば、北が化学兵器と最低でも数基の核弾頭を保有していることを考慮すれば、これは韓国のみならず隣接する日本、中国、ロシアにとってもカタストロフィーになる。それになぜ今、社会経済パラメーターからすれば緩慢ではあるものの、韓国の軍事政権モデルに徐々に近づきつつある北と戦わねばならないのか? それよりも北朝鮮が最終的に資本主義を確立するのを待ったほうがいい。そうなれば民主主義に到達するまでは大して時間がかからないからだ。」