モスクワ国際関係大学・軍事政治研究センターのアレクセイ・ポドベレスキン所長は、日本はこのような形で、ベトナムを中国との対立における自国の同盟国に様変わりさせることに期待しているとの見方を示し、次のように語っている-
「ベトナムとの関係における日本のアプローチは十分に実利的だ。ベトナムは軍事的な点においても急速に発展している国だ。日本は中国とベトナムの摩擦が維持され、さらに大きくなることに非常に大きな関心を持っている。ベトナムが中国と対立する独立した力の中心地になったら、日本にとっては理想的だろう。だから日本は今、米国のように、反中国政策を基盤にして、親ベトナム政策を実施しているのだ」。
「ベトナム指導部にとっては、原則的に、ベトナムが経済的、政治的、軍事的な力を得ることが重要なのではないかと思われる。その力が誰に対して向けられるのかは、二義的な問題だ。大切なのは、今ベトナムにとって、それがベトナムを強化する方向で役立つのであれば、あらゆる支援が良いものであるということだ。それが日本、米国、ロシア、あるいは中国であったとしても、それほど重要ではない。ベトナム指導部にとっては、急速に増強するベトナム軍事力が、自国の主権を守れるということが重要なのだ」。
ベトナムと中国が武力衝突する危険性はあるのだろうか?ポドベレスキン氏は、次のような見方を表している-
「私はベトナムと中国が武力衝突する可能性を排除しない。私たちは、中国とベトナムの間で武力衝突が起こった1970年代の悲しい時代のことを覚えている。今この事を思い出す人は少ないが、当時ベトナムは実際にはかなり少ない兵力で、中国軍の十分に大規模な部隊に打撃を与えることができた。中国軍は課せられた課題をクリアし、中国指導部が指示した外国へ出たが、その際に大きな損失をこうむった。このようにベトナムは米国だけでなく、中国に対しても戦闘行為の成功実績を持っている。そして今ベトナムは、精神的に中国と対立する用意がある」。