アラバマ州選出の上院議員、ジェフ・セシュンス氏は次のように語っている。
「全くの失策であったと認めねばならない。完全なる失策。いやそうではない、と思いたいのだが、事実は事実だ」
国防総省によれば、シリア反体制派の訓練に数百万ドルが投じられたものの、実際に戦闘に参加しているのは5人程度だという。
オバマ大統領の任命をうけて昨年来、対「イスラム国」有志連合の司令官を務めていたジョン・アレン将軍が、先日、辞意を表明した。戦況が思わしくないためだという。
米国に訓練されたシリア反体制派グループの司令官、ムハメド・ダヒル氏も、任務失敗を理由に、職を辞した。希望が失せたと見てか、欧米の空気も変わりはじめたようだ。これまでシリア問題とくれば、答えはいつも一つ、「アサドを相手にしてはならない、アサドは追い落とさねばならない」ということだった。その欧米が、柔軟な姿勢を示し始めている。
英国のハモンド外相は次のような声明を出している。
「何もアサド大統領の即時退陣を求めているのではない。国際的な監視のもとで、短期的な移行期間を設ける方向で、ロシアやイランなどの国と話し合う用意もないではない」
またオーストリアのクルツ外相は次のように述べている。
「アサド氏がシリア問題の長期的解決の一部になるとは考えていないが、現段階では、限定的にもせよ、氏は交渉に参加すべきだ」
米国のケリー国務長官は次のように述べている。
「必要なのは政治的解決で、そのためには交渉あるのみであると、深く確信している」
なおケリー長官は、米国はロシアとの対話を即時開始し、対「イスラム国」戦略を共同策定する用意があるとも述べている。
ボストン北東大学の政治学者マックス・アブラムス氏は次のように述べている。
「私見では、ロシアはテロリストがどのようにダマスカス攻略を狙っているかを注視しており、事実上、イラクおよびリビアの政権交代の教訓をもとに、ダマスカス制圧を許してはならない、と宣言している」
米国の対「イスラム国」戦略破綻を受け、有志連合は今、シリア危機の解決に関する新たな提案に対し、よりオープンになっているようだ。