シリア内戦
国連総会出席を前に米CBSテレビが行なったインタビューでプーチン大統領は、シリア危機の解決は、合法的な現政権を強化し、かつ、健全野党との対話および改革へと現政権を赴かしめることを通じてのみあり得る、と語った。(なお、このインタビューの模様は、CBSテレビのサイトに英訳で紹介されている)
ロシアの目的のひとつは、軍事紛争で劣勢に立たされているシリアのアサド政権を救出することにあるのでは、との指摘に対し、プーチン大統領は「それはその通りだ」と答えた。
「私は深く確信している。合法的な政権を破壊することを目指した取り組みは、中東地域内外の一連の諸国と同じような状況を創り出してしまう。たとえばリビアでは、国家機構が破壊されてしまった。残念なことに、イラクでも同じような状況が創られている」
「今ある国家機構を強化し、それにテロと戦う上での支援を施し、同時にそれに働きかけて、健全野党との対話および改革の実行に赴かしめることを除いて、シリア危機の解決法はない」とプーチン大統領。
イスラエル首相との対話
プーチン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相との会談で、次のように述べた。「シリアはイスラエルを相手とした軍事行動など必要としていない。シリアは現時点でシリア自身を国家として維持することで手一杯だからだ」。プーチン大統領によれば、イスラエル首相がロシアに来たのは他でもない、難しい中東情勢を討議するためだ。
「手製のミサイル装置からイスラエルへ砲撃が行なわれたと聞いている。我々はこれを非難する」
「我々の理解では、シリアおよびシリア軍は、今とてもイスラエルを相手に第二の戦線を開けるような状態にはない。自らを国として維持することで手一杯だ」とプーチン大統領。
プーチン大統領はネタニヤフ首相に対し、ロシアの中東政策は常に責任感をもったものである、と語った。「イスラエルという国には非常に大勢の旧ソ連出身者がいる。このことは我々の国家間関係に特別な刻印を与えている。中東におけるロシアのあらゆる行動は、常に責任感をもって行なわれる」とプーチン大統領。
ミンスク合意とウクライナ情勢
プーチン大統領は12日の国内メディア向け記者会見で、ミンスク合意に憲法修正と地方選挙関連法の修正が規定されていることを指摘した上で、次のように述べた。「ミンスク合意に代わるものは無い。一番重要かつ必要なことは、キエフ政権とドネツク・ルガンスク両共和国政府の間に直接対話を樹立し、ミンスク合意を実現することだ」。
欧州難民危機
プーチン大統領は9月4日、東方経済フォーラムで演説した中で、次のように述べた。「この危機は間違いなく予見可能だった。皆様方の忠実なしもべである我々ロシア政府高官は、次のことを、これまで度々繰り返してきた。もし我々の、いわゆる西側のパートナーたちが、誤った対外政策を、とりわけ中東や北アフリカ、ムスリム世界において続けるならば、途方も無い問題が発生する、と。私はその政策は誤りであるといつも言い続けていた。しかしその政策はいまだに続けられている。その政策とはなにか。それは、地域に根付いた歴史的、宗教的、民族的、文化的特質を無視して、自分の基準を押し付ける政策である」。
米国との関係
プーチン大統領は6月19日、ペテルブルグ経済フォーラムで演説した中で、次のように述べた。「我々の西側におけるパートナーといえば、これまでもそうだったとおり、むろん、そこには米国も含まれるわけであるが、彼らは一種の陶酔状態に陥ってしまった。そうして、善隣友好関係を打ち立てる努力を放棄し、それを何か新らしいことだとでも思ったのだろうか、自由な地政学空間なる理念を推進しはじめた」
「ローカルな軍事紛争ではなく、たとえば米国がミサイル防衛関連条約から一方的に離脱するとか、そうしたグローバルな決定によってこそ、冷戦は引き起こされる。もし本当にそういうことになれば、それはすなわちグローバルな安全保障システムが変容したということだから、ロシアとしても、新次元の武装に着手しないわけにはいかない」
「大量破壊兵器の拡散に断固反対するという点では、米国も欧州諸国も、願わくばイランも含め、我々皆、同じ立場だ。これが我々の原則的な立場だ。こういう一致があったからこそ、我々は兵器の削減・撤廃に向けた取り組みを、米国と建設的に推進していくことが出来たのだ」とプーチン大統領。