会談を総括してプーチン大統領は、記者団の質問に答え「ロシアは、今後も、シリアのアサド大統領が『IS(イスラム国)』と戦うのを助けてゆくだろうが、過激派に対する地上戦には参加しない。ロ米の軍人は、シリアでの紛争を避ける対話を確立する。またウクライナ紛争解決における米国の役割は、十分積極的なもので、キエフ政権の背後には米国がいる」と述べた。
ニューヨークの国連総会の場で行われた会談は、事前に計画されていた50分を上回り、1時間半続いた。会談は、先鋭化した地域問題解決を話す中で長引き、途中休憩もなかった。しかしロ米最高レベルでの対話が再開されたことは、特筆されるべきだろう。
会談後プーチン大統領は、シリア紛争調整及び「IS」との戦いに関心を抱くロ米両国を心配させている主な問題は、恐らく「ロシアは、テロリストとの地上戦に部隊を導入するつもりなのかどうか」だろう、と指摘した。
プーチン大統領は、次のように発言した-
「我々は、テロとの戦いは、シリア国内での政治的プロセスと平行して進めるべきだが、地上作戦へのいかなるロシア軍部隊の参加についても述べられていないし、述べることもないだろう。
我々の参加について言えば、それを考えてはいる。なにも排除してはいない。しかしもし我々が行動するとしても、完全に国際法の規範に従ってのみ、それはなされる。そうした規範に関する国連の決定や、シリア側の要請に従う。
そうした観点から見れば、米国及び彼らの同盟者のシリア国内における軍事作戦は、違法なものと言わなければならない。」
ロ米大統領の1時間半にわたる会談では、ホワイトハウスの発表によれば、ウクライナ問題に時間の半分が割かれた。しかしその結果について、ホワイトハウスの報道官は「米国政府は、これまでと同様に、ウクライナの領土保全を支持し、分離主義勢力による地方選挙実施プランも含めてウクライナにおけるミンスク合意の実現化に危惧の念を表す」と述べるにとどまった。その際オバマ大統領は「ここ数か月中に、ミンスク合意が遂行される肯定的可能性が存在する」との見方を示している。
一方プーチン大統領は、なぜそもそもウクライナ調整問題をオバマ大統領と話したのかについて、次のように説明した-
「ウクライナ紛争調整に米国が、これまで以上に積極的に参加する可能性について言えば、米国は、すでにきわめて積極的に参加している。ただそれは、ロシア、フランス、ドイツの所謂『ノルマンジー・フォーマット』のように前面には出ていない。しかし米国は明らかに、キエフ政権の背後に立っており、彼らは絶えず欧州の同盟国とコンタクトをとっている。一方ロ米間には、外務省と国務省ラインで恒常的に良い実務的なコンタクトが確立されている。今回の協議は、我々の米国側のパートナーが、データ全体において完全に、当然ながら、ウクライナ紛争調整プロセスに影響を及ぼしている事を示した。」
又プーチン大統領は、2年ぶりのオバマ大統領とのロ米最高首脳会談全体を総括し「建設的で実務的なもので、驚くほど率直なものだった」と呼んだ。大統領は又「接触点も見つかったが、意見の違いが残っている。それらは原則的に、よく知られたもので、ここであえて繰り返す必要はないだろう。しかし私の見るところ、共通の諸問題に共同で取り組むことは重要である」と強調した。
ホワイトハウス側も、今回の会談について「実りあるものだった」とし、その例としてシリア問題をあげ「両大統領のどちらも、自分だけポイントを稼ごうなどとはしなかった。状況に対し、どういう方法でアプローチが可能か理解したいという共通の願いがあった」と指摘している。