「ロボット・シティー・アムステルダム」は人間とロボットの間の友情と助け合いについて、2つのメカニックな心臓の愛についての物語。現在ロシアで行なわれているショーには4人の「人間」の俳優と11体のロボットが登場しているが、ロボットの製作は仏韓露米中で行われた。
主役を演じるのはロボットのNAO。NAOは先ごろ日本のSoftbankの傘下に入った仏アルデバラン社の制作。NAOは宇宙船に乗って宇宙旅行に出かけるが、その際、他の人工頭脳の住む惑星についてしまう。NAOは途中で別のアンドロイド・ロボットと知り合う。角のとがったロボットは韓国製の「タイタン」で、これはこのショーのために「ロボットビルダー」社が特別に制作したもの。またもう1体の白くて大きいロボット、「インモーヴ」はロシアのフルニチョフ記念宇宙局の技師設計士らが、これもまたショーのために特別に制作した。
ロシア制作のインモーヴは公開されているプロジェクトで3D設計によるロボットはインターネット上でも公開されており、誰でも見ることができる。ショーの製作者らがラジオ「スプートニク」に語ったところによれば、インモーヴはロシアの宇宙船発射基地「バイコヌール」も訪れ、宇宙実験にも参加した経験を持っている。
俳優のロボットはダンスを踊り、着飾り、レーザー光線の弦をはじいてハープまでも演奏する。だがロボットのそうした動きのひとつひとつに、また俳優の手、頭の動きのひとつひとつに裏には、ロシアのプログラマーたちの何日にも及ぶ苦労がある。そのプログラマー集団を率いる「ロボット・シティ・アムステルダム」社調査開発部のタチヤヤ・ヴォルコヴァ部長は、ショーは1幕を作るだけでも数日を要しており、何百幕もが集まってようやく1つのショーになるとして、次のように語っている。
「ロボットがインタラクティブになり、観客と交流し、キーとなる単語を理解し、表情を見分けるようになって欲しいと願っていますが、これはまだ将来のことです。今、全幕が私たちの手であらかじめ作られており、俳優も入って舞台稽古もなされた状態で本番を迎えます。そのプロセスはどこか彫刻を作る作業、アニメーションを作る過程に似ています。私たちはその動き、音を記録にとどめておき、それで舞台全体が仕上がって行くのです。あとはボタンを押すだけで十分で、ロボットたちは全幕を演じて生きます。ロボット用の舞台を作ることは難しいかどうかと言われますと、そうした舞台があまり作られていないので、作業は長くならざるを得ないというのが正しいでしょうね。舞台がどう見えるか、監督のコメントも聞かねばなりません。難しいというのは別のことで、新たなロボットを造ることが難しいのです。」
「ロボット・シティ・アムステルダム」プロジェクトはハイテクショーとして考案されたものだが、徐々に科学実験室へと姿を変えつつある。それをベースとしてエンジニアらは単に複数のメーカーの作るロボットを修理、プログラミングするだけでなく、複数の装置を制御する上で欠かせない、いわゆる「クラウド・ブレイン」の制作といったグローバルな課題にも取り組もうとしている。
「ロボット・シティ・アムステルダム」の活動のもうひとつの方向性は生活のあらゆる面でロボットを使ったシナリオ作りだ。「ロボット・シティ・アムステルダム」社の創始者のひとりで、執行役プロデューサーのアイダル・コジャフメトフ氏(46)は国連付属国際情報研究所の情報社会発展に寄与したとして名誉賞を授与されているが、このコジャフメトフ氏は、ロボット技術は多くの国々で最高のレベルに達したまさに今、ロボットとより密接に関わる必要性があるとして次のように語っている。
「私たちが将来脅威を味わいたくなければ、全世界はロボットに取り組まねばなりません。これは人間がロボットを自分たちの生活に受け入れ、導入し始めたとき、初めて可能になるのです。もし人工頭脳やロボット技術の開発を専門家らにのみゆだねていれば、絶対的にこれは戦闘ロボットになってしまいます。これは人間にも危険となりかねません。ロボット技術の発展は全人類を引き入れて行なわれねばならないのです。」
今日ロボットはロボット技術の競争に参加し、サッカーに興じ、リングでボクシングを行なっている。だがロボットは多くの人間の興味を惹く一方で脅威をも引き起こす。ヒューマノイドに対する脅威を取り除くために、こうしたショーが一役買うことは間違いない。