これより前、米大統領府の声明では、米国と豪州は13日、ボストンで交渉を行ない、中国の人工島の周囲で米国の艦船がパトロールを行なう可能性を話し合っている。
カーター国防相は南シナ海でのパトロールを宣言したなかで、米国は全世界で空、海他の作戦を国際法の許す地域の全てにおいて展開させて行くと強調している。この際に、カーター国防相は、南シナ海は今もこれからもその対象外にはならないと指摘した。中国の行動に対する合同の反応というテーマは米国と豪州の国防相、外相の会談で大半を占めた。両国は国防分野における協力拡大で合意し、中国による人工島の建設に「深刻な憂慮」を表した。
このように米国と同地域におけるその連合国数カ国は、南シナ海の状況発展に関しては強硬なレトリックを維持している。このことは、これより前、今月に中国が米国に対し、「ナビゲーションの自由」というスローガンの下に自国の海域の境界線の侵犯は許さないと警告したにもかかわらず起きている。
中国国際問題研究院、南太平洋研究センターの沈世順(シェン・シシュニ)所長は、ラジオ「スプートニク」からのインタビューに対し、この状況を次のようにコメントしている。
「米国は南シナ海の諸島に対する中国の主権を認めておらず、この諸島の建設に関し、不満を表している。中国の人工島建設は事実上、平和目的で行なわれており、これは海上のナビゲーションに役立ち、救助活動を行なうためのものだ。最近、中国は2つの灯台を建設したが、これはここを通過する船の航行に情報を与えることを目的としている。このほか、中国はこの建設の力を借りて自国の主権をアピールする必要はない。中国の主権は、九段線(訳注:中国が南シナ海の全域にわたる領有権を主張するため、1953年から地図上にひいている9本の点線)の枠内のものは全て合法的なものだ。仮に米国が12海里の境界線で中国に挑戦を仕掛ける事態が発生した場合、中国はこれに断固として報復することができる。」
シェン所長は米国の行動について、「冷戦時代の思考であり、状況を揺るがそうとする非建設的行為が成功するはずはない」と厳しい評価を下している。
多くの専門家らは南シナ海が中国と米国の紛争の新たなステージとなりつつあると指摘している。両国は現段階では正面衝突を避けているが、一方でいずれの側も長期的な「戦争体制」にむけて準備している。米国は中国が隣国間と行なう領土論争を、中国抑止を主目的とした軍事同盟の強化のために巧みに使いつづけるだろう。