「悪玉」対策に本腰を入れ始めるロシア

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欧米諸国がシリアのテロ対策で見せたロシアの決然たる行動から受けたショックからいまだ回復できていないなか、ロシア軍は既に新たな戦線を開いている。

今度の相手はアジア太平洋地域の海上交易路における大敵、海賊だ。

中国で開かれた第6回象山セキュリティフォーラムでロシア国防省のアナトーリイ・アントーノフ次官は、海賊対策を共同して行う必要性を訴えた。

「ロシア海軍は海賊対策と航行の安全保障について膨大な経験を有している。ロシアは2008年以降、インド洋の海賊取り締まり作戦に参加している。この間ロシアは各国の商船700隻あまりを保護した。ロシアは外国船との協力に関する経験を豊富に有している。そうした経験をアジア太平洋諸国と分ちあう用意がロシアにはある」と次官は述べた。
加えてロシアは東アフリカのソマリア周辺海域での海賊取り締まりについても豊富な経験をもつ。ロシアはたびたび船舶やヘリコプターによって各国商船拿捕の企てを阻止した。
国防次官は語る。ロシアは海洋航行の安全保障、海賊取り締まり、遭難船救助、海上救助活動についてアジア太平洋地域諸国との協力を活発化させる考えだ。既にロシアは地域諸国の多くとそうした趣旨の条約を結んでおり、近々マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インドネシア、ミャンマー、韓国、タイ、フィリピンとも協定を結ぶところだ。

アジア太平洋地域諸国は海賊対策に関する2国間および多国間の協力を発展させている。それも当然のこと。正義の海賊などというものは伝説や冒険小説の中にしか存在せず、現実には彼ら(海賊)のほとんどが、無慈悲で、残酷だった。少なくとも政府や商人たち、そして市井の人々は、そう見なしていた。健康や財産を脅かされるとなれば当然のことだ。ましてや、今の時代に海賊を理想化する人など誰もいない。その点、悪玉と「穏健野党」とに分類される、テロリストとは異なるわけだ。ちなみに言えば、どういう理屈でそのような分類がなされるのかは明らかだ。米国とその同盟国の市民を殺害するテロリストは悪玉、米国の敵だけを殺害するテロリストは善玉。善玉テロリストは資金や武器で支援し、訓練し、「自由の闘士」または「穏健野党」と呼ぶことになっている。

幸い海賊についてはそれら呼称は用いられていない。もっとも、将来のことはわからない。アジア太平洋地域では米国と中国の対立が深まっている。中国は海軍力を増大させている。この点米国は忠実な同盟国・日本を頼みにしている。地域において日本の海軍力にまさるパワーは米国しかない。米国はしかもそれに飽き足らず、南シナ海で中国と紛争をかかえるベトナムやフィリピンをも味方につけようとしている。しかしながら、実際のところ、おそらくは誰も、島嶼や海域の所有権を守るために海軍力を行使する用意までは持っていない。深刻極まりない戦争が起こりかねないからだ。その点、海賊を利用するというのは、悪くない考えかもしれない。一部の海賊を航海の自由の闘士と呼び、穏健野党と規定することは。しかしそうした「独立の闘士」や「穏健野党」の背後に経済的・地政学的野心をもった大国の影があることは、今やだれもが知るところだ。ジョリー・ロジャー(海賊旗)を掲げた「穏健野党」を支援でもすれば、たいへんな紛争が持ち上がりかねない。そうさせないためには、幅広い国際協力のもとで海賊を、たとえ「航海の自由の闘士」と呼ばれようともあくまでも海賊にほかならぬものとして、取り締まることが必要だ。テロリストも同じこと。たとえ「穏健野党」と呼ばれようとも、飽くまでテロリストとして取り締まることだ。

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