英政府は再三にわたり、英国の鉄鋼業界の不振は中国が鉄鉱を過剰生産し、不当に安い圧延鋼材の供給が増大しているためだとして、中国を非難している。
訪英を目前に控えた先日、インドのTata Steel社は、スカンソープ市(英国における製鉄の中心都市)における大規模人員整理を発表した。同社は中国が国際市場で鋼鉄をダンピング価格で販売していることを非難した。
中国製の圧延鋼材の市場シェアは2%から8%へ増大している。
いま英国は、他ならぬ中国から投資を受けて、核施設その他のインフラを建設しようとしている。対中関係を良好に保つ重要性が増したこの時に、英国鉄鋼業界が危機に陥ったことは、キャメロン首相には痛手であった。
組合側によれば、もし政府が必要な保護措置を取らなければ、スカンソープの製鉄工場は先日操業停止に追い込まれたレッドカー社のティーズサイド工場と同じ運命をたどることになる。そうなれば英国は年間300万トンという鉄鉱生産力を失い、そのシェアは瞬時に外国製の鋼鉄に奪われることになる。