ロシアとトルコは2国間関係を高く評価しているが、シリア危機は両国関係を脅かしているのだろうか?またシリアに関するロシアとトルコの立場が近づく可能性はあるのだろうか?リア・ノーヴォスチ通信は、ロシアのアンドレイ・カルロフ駐トルコ特命全権大使にインタビューを行った。トルコが当初ネガティブな反応をみせたシリアにおけるロシア航空宇宙軍の作戦は、露土関係にどのような影響を与える可能性があるのだろうか?カルロフ大使は、次のように語っている‐
「シリアにおけるロシア航空宇宙軍の軍事作戦は、ロシアとトルコの関係に影響を与えている。我々はこれを今、目にしている。しかし、シリアに関する全てのテーマが緊迫したものであっても、軍事作戦が長い期間にわたって両国関係、特に経済の構成要素にネガティブな影響を与えることはできないと信じたい。私の希望を支えているのは、トルコ政府の経済ブロックの大臣たちが、ロシアの設計で建てられるアックユ原発の建設ルートでの協力は、順調に行われていると発表したことだ。ロシアに代わってこのような大規模施設の建設を請け負うことができる国を探すのはとても難しく、ほとんど不可能だ。さらに私たちがこの原発をただ建設しているだけでなく、同プロジェクトへの融資も行っていることを理解する必要がある。プロジェクト資金は、少なくとも200億ドル。建設を引き継ぎ、このような多額の資金を投資できる国を見つけることは、恐らくできないだろう」。
ガスパイプライン「トルコ・ストリーム」について、カルロフ大使は、その建設に対する関心の度合いは、ロシアもトルコも同じだとの考えを表している。現在、ロシアからトルコへ送られているガスは、トルコのガス消費量の約60パーセントを占めている。輸送ルートは2つあり、一つはウクライナ経由の西ルート、2つ目は、黒海の海底に敷設されているガスパイプライン「ブルーストリーム」を通じたものだ。なおロシアは、2019年からトランジット国としてウクライナを使用するつもりはないとの公式声明を表しており、その理由を明確に説明した。だが、ここで、現在ウクライナ経由で送られている50パーセントのロシア産ガスを、どうやってトルコへ輸送するのだろうか?という疑問が沸き起こる。「ブルーストリーム」の輸送能力を増強することは可能だ。しかし2倍に高めるのは不可能だ。カルロフ大使は、そのため「トルコ・ストリーム」が実現されるだろう、との考えを表している。大使は、ロシアとトルコが意見の相違を克服し、シリア危機で接点を見いだせる希望はあるか?との質問に、次のように答えている‐
「我々にとってシリアで重要な問題は、国際テロリズムであり、この悪との戦いで全ての国と協力する用意があるということを、私たちは繰り返し発表した。私たちは、トルコの首都アンカラで起こったテロを非難している。これは、トルコだけでなく、ロシアにとっても悲劇だ。プーチン大統領は国連総会の演説で、幅広い反テロ連合の創設を呼びかけた。もしトルコがこの問題で我々と協力するならば、私たちはもっぱら歓迎する。最近モスクワで開かれたロシアとトルコの外務次官級協議では、双方が関係を発展させる意向であることが話された。私たちが会う回数が多ければ多いほどよい。私たちは、そのための大きな可能性を持つことになる。それは、11月にトルコのアンタリヤで開かれるG20サミットや、12月にロシアで開かれるハイレベルの協力会議だ。なおこの会議にはロシアとトルコの両首脳が出席する」。
さらに大使は、現在の危機を考慮に入れた場合のロシアとトルコの今の経済関係について、次のような見方を表している‐
「今のところ、ロシアとトルコの今年の貿易高の動きは好ましくない。数字を見たとしたら、このような評価になる。エネルギー価格が下落したため、我々が同じ量のガスや石油を輸出していたとしても、我々に支払われる金額は少なくなるからだ。しかし貿易高は、価格と物理的な量の2つで決まる。物理的な量を見た場合は、全く別の指標となる」。
なおカルロフ大使によると、トルコには、タタールスタンをはじめとしたロシアの複数の地域と協力するための、良い見通しがあるということだ。