その前夜、「ロシア・セヴォードニャ」スイス支部は、国連ジュネーヴ事務局のミケル・モラー事務局長にインタビューを行ない、国連は70年前に自らに課した課題をどのくらい達成できたのか、意見を聞いた。
モラー氏の結論は、国連は70年前の課題を達成し、それよりはるかに多くのことを成し遂げた、というものだ。
「人類がいまどんなところへ来ているか、見て欲しい。かつてなく良いところへ来ている。人生はより長く、より良くなり、死は間遠になっている。健康は格段に増進した。もし私たちが戦後、国連およびその提携機関とともに、今ある国際システムを作り上げていなかったなら、これほどの達成はありえなかった。そのことは100%確信している。
近いところでは、ミレニアム開発目標だ。私たちは貧困を半減させた。忘れがちなことだが、それはすごいことではないか。世界中で、新生児の死亡率が半減した。たった50年弱でだ。これも驚くべき成果だ!世界食糧計画は数百万の人々に食料を配給している。国連難民高等弁務官事務所は数百万の人々に避難所を提供している。ユニセフは数百万の子どもたちにポリオその他の接種を行なっている。たとえ激しい紛争の中ででもだ。国連そのものも、人々の生活向上のために、作業を続けている」。
いま国連は、紛争解決能力のなさを指摘され、非難されることが多い。中東やシリア、ウクライナにおける危機で、とりわけそうした声は高まった。モラー氏はそうした批判を、半分は正当、半分は不当なものとしている。
「そうした批判にも一理ある。しかし、国連について語るとき、心掛けなければならないことがある。国連を創ったのは、2つのものだ。ひとつは、私のような、事務員たち。加盟諸国の行動を監視するのが彼らの役目だ。しかしもうひとつの、国連の心臓は、他ならぬ加盟諸国である。
だから、国連は役割を果たしていないと人は言うが、それは国連加盟諸国が役割を果たしていないということなのだ。中東が平和にならないのは、事務局が自分の仕事をしていないからではない。国連加盟諸国が国連安保理の決定を履行しないからだ。加盟諸国がたとえ自分の気に入らない決定をとったとしても、そのあとで実際にどう行動するかについて、諸国は合意することが出来ない。
平和を守る活動は、かくあるべしというほどには、効果的になされていないのが現状だ。しかしそれは、国連加盟諸国がすべきことをしていないからだ」。
モラー氏は、国連には改善の余地が山ほどある、と語る。
「国連は絶えず成長を続ける。その定義そのものが、人類の必要とするところに応じて、また人類が向かわんとするところにしたがって、変化することを定めている。国連の行動は影響力を持つが、国連はもっと敏感にならなければいけない。そして国連は、より予防的に行動し、かつ、未来を見据えねばならない。
世界に6000万もの難民がいるという事実。これは空前絶後の数字だ。人道支援のために、私たちは途方も無い金額を支払っている。それら全ては、または大部分は、もし妥当な成長支援が行なわれており、また必要な外交措置が取られていたならば、予防できたことだ。あるいは、もっと被害を軽くできたことだ。
しかしながら、私たちの遺伝子には、脅威に反応するための機制はあっても、脅威を予防するためのそれは備え付けられていない。それは直す必要がある」。