中国政権の公式的な立場ではスプラトリー諸島は歴史的に中国固有の領土であり、中国は事実上のコントロールを確立すべく、ここに人工島の建設を行っている。米国はこの地域の現状のいかなる変化も受け付けない立場をとっており、「国の大小に関わらず」この地域のすべての国の国益を守る構えだ。
「韓国は中国とおよそ2500億ドルの取引高がある。これは韓国の対外貿易高のほぼ4分の1に相当する。これだけ重要な貿易相手国と喧嘩するのは賢くない。それでは米国との取引高はどうかといえば、韓国にとってはこの地域でこれだけのレベルでは唯一の戦略的パートナーであるにもかかわらず、その半分にすぎない。ところがパク大統領が外交政策の最優先事項のひとつとして推進するユーラシア・イニシアチブは、北東アジアでは中国との協力なしには全く不可能だ。このため、韓国が真っ向から中国に反対することなどありえない。」
中国はスプラトリー諸島に対する領有権主張を隠すことはない。それはまず経済的関心に関連している。東アジアとインド洋の間には東アジア諸国のほかの諸国の交易路が通っており、中国にとっては戦略的に重要な石油供給ルートもここを通っている。キムヨンウン氏は、まさにこのことから中国はこの海上路の走る水域の情勢に憂慮を呼んでいるとして、次のように語っている。
一方で海上路を浸かった輸送はいつも安くつく。このため中国は常に東南アジアの全ての国々と良好でプラグマティックな関係を築こうとしているのだ。
それに中国にとってはこれは今に始まった課題ではない。中国が長い間英国の植民地だった香港に対し、どう接したかを思い出すだけで十分にわかるだろう。中国は英国が出て行くよう合意したが、その後も50年間は香港は特別行政区として残るよう決められた。つまり香港は東南アジアの金融の中心地だったが、結局はそのまま残ったことになる。
中国人はほかの係争領域でも同じような手に出る可能性はある。これは十分に賢明な解決法だといえるだろう。なぜなら50年の間には一世代以上の交代が進むからだ。この間に人々は中国との関係に馴れ、有機的な統合が進むだろう。」
これは、中国は自国から奪われた何らかの領域に対して歴史的権利を復権しようとしても、これを急がずに行うことを意味している。そのやり方は軍事力の行使ではなく、貿易、経済協力を拡大することで通そうというものだ。