ソ連崩壊後、日本は中央アジアの一連の諸国にかなり大きな金を投じた。公式的にはこうすることで日本は米国との協力のもとでこの地域の民主主義の発展を奨励したことになっている。だが実際は日本も参画した多用なプログラムやプロジェクトが持っていた目的とは、まず、中央アジア諸国がロシアや中国に頼る経済的依存性を弱め、米国とのより緊密な協力へと駆り立てることにあった。
中央アジアには石油、ガスをはじめとして日本にとってあまりに欠かせない貴重な資源が多く眠っていることから、おそらくは日本にはこの地域における独自の関心もあったはずだ。まさにこの経済的側面が安倍首相の今回の中央アジア歴訪の中心に据えられている。また中央アジア諸国も日本のビジネスと資本の流入に関心を持っている。このようにしてそれが誰の気にいるか、いらないかの別なく、日本はこの地域で少なくとも自国の経済的アピアランスは拡大しようとするだろう。
確かにロシアの専門家の中には、日本が上海協力機構の協力に参加するという現段階では単に仮説的な将来性をさしたる熱狂もなく見つめている者もいる。彼らは日本がこのフィールドをロシアと中国と抱える領土論争で自国の立場を押し付けるためにつかうのではないかと恐れているのだ。まさにこの理由で中国では日本が上海協力機構との協力に登場するという構想に強い抵抗がある。だがこの問題は解決できる。15年ほど前、有名なロシア人東洋学者のプリマコフ元首相が提唱したモスクワ=北京=デリーという枢軸を作る構想を多くの人が笑ったものだった。中国とインドは領土論争からパートナーにはなりえないというのが理由だった。今もインドと中国の間の相互不信は完全には消えていない。だがそれでも二国は露印中やBRICSというフォーマットの枠内で見事に協力を行っている。
このため日本と上海協力機構の協力は十分に可能だ。もちろんこの組織がその経済効率を引きあげ、また日本が独自の関心を忘れ、中央アジアでの米国の立場強化を支援しようとしなければ、の話だが。