北朝鮮は、こうした提案の根拠として、平和条約のみが、南北朝鮮の対立に終止符を打つことができる事を挙げている。そのさい北当局は、韓国と言うよりむしろ米国に対し、それをアピールしているが、これは何も驚くに値しない。米国は、戦争では、南側に立った基本的な参加者だったからだ。停戦協定に調印したのは、韓国ではなく、まさに米国だった。しかし米国は、北朝鮮との平和条約締結を望んではいない。
「米国は、朝鮮戦争が残した結果に対する、倫理的な、そして当然ながら物質的な責任を自ら負うことを全く望んでいない。米政府は、米国は国として朝鮮戦争には参加しなかったと主張している。米国の将軍は、国連代表として、停戦協定に署名したというわけだ。韓国側が、1953年の停戦協定への署名を拒否したことはよく知られている。当時韓国大統領であったイ・スンマン氏は、勝利するまで戦いを続けると強硬に主張し、米国の圧力のもとでさえ、停戦に合意しなかった。他でもないこうした状況により、北朝鮮は具体的に米国との間で、交渉することになったのだ。北朝鮮は、現存する停戦文書を変更できるのは、それに調印したものだとみなしている。」
米国は、北朝鮮との間で平和条約を結ぶことができない、もう一つの理由としてしばしば、北当局が核ミサイル兵器製造放棄に関する国際的義務を果たしていないことを挙げている。
ジョビン主任は「これは人類全体にとって重大な問題だが、東アジアにおける米国の政策の目的は、問題解決につながるものではない」と指摘し、次のように続けた-
米国にとって北朝鮮は、外交関係さえ持つべきではない、具体的な悪である。一方南朝鮮、韓国は、反対に戦略的パートナ=である。このように南北朝鮮のステータスは違っているが、米国がアジア太平洋地域における中国抑え込みを目指す地政学的ゲームにという盤上では、北も南も同じただの駒に過ぎないのである。」