「先週、米国務省は、ISがいかにして闇市場に石油を販売しているかについての情報に対し、500万ドルの懸賞金をかけた。これすなわち、米国はISによるグローバル規模の石油売却・輸送がどうやって行われているのか、よく分かっていないということだ。仲介者の存在や、犯罪組織の暗躍が示唆されているが、具体的に誰が仲介役を担っているのかについては依然よく分かっていない」とギュルレ氏。
「ISの活動は世界的石油安の主因の一つである。テロ組織はトルコ、ヨルダンの闇ブローカーに国際標準の半額という安値で石油を販売している。トルコにはそうした石油を今度はイスラエルに転売する業者がいる。この3カ国の石油密売人らが石油を第3国に不法に売却する。しかし、ISによる石油密売が最も盛んに行なわれているのは、やはりトルコである」。
米国の専門家らによれば、ISは毎日5万バレルの石油を売却し、年間5億ドルの利益を上げている。
ISはさらに大きな、年間10億ドルという利益を、自らの支配領域における麻薬輸送の通行料という形で上げている。麻薬マフィアこそがISの最重要スポンサーなのだ。これはロシア麻薬流通監督庁長官ヴィクトル・イワノフ氏が、28日開かれた中央アジア麻薬取締4者会議で語ったことだ。支配領域における麻薬輸送の規模について、イラン紙「イラン・プレス」編集長エマド・アブシェナス氏は次のように述べた。
アブシェナス氏も指摘する通り、ISは国際法に違反する様々な手段で収入を得ようとしている。文化財の不法売却もそのひとつだ。
ユネスコによれば、シリアでは文化財の組織的強奪が行われている。博物館から文化財が持ち出され、闇市場に売却されているという。
「シリアの文化財の売却から得られる莫大な利益がイスラム過激派に流入している。彼らはその金で、武器や装備を買い、戦闘員に給料を支払っている」。「ロシア新聞」の取材に応え、ユネスコのイリーナ・ボコワ事務局長が述べた。ユネスコは今後もISによるシリア文化財の密売という問題に取り組む、とボコワ氏。
エマド・アブシェナス氏はスプートニクの取材に応え、組織の結成にあたってISがどこから資金を得ていたのかについて、次のように述べた。
「ISという組織はアルカイダの一部が分離独立するという形で形成された。また、イラク戦争の経験者や、フセイン時代のバース党支持者、さらにはフセイン政権陥落後に形成されたイラク反体制派内のスンニ派アラブ人もそこに加わっていた。従って、フセイン時代から蓄えられた一定の活動資金が、当初からこのグループにはあったのだ。ほかにも、アルカイダからの資金援助もあったし、さらには、ペルシャ湾岸の一部アラブ国家からの資金援助もあった」。
IS誕生については米国も一定の役割を果たしていた、と言われる。一年前のことだが、トルコ誌「ラジカル」の取材に応じ、CIAの上級分析官グラム・フラー氏は、「何も米国がIS創設を企んだわけではないが、中東への介入とイラク戦争による不安定化がIS誕生の要因になった」と述べている。
パキスタンにもISを間接的に米国が支援しているとする声がある。今年のはじめ、パキスタンにおけるISの幹部とされるユザフ・アル・サラフィなる人物がラホールで逮捕された。「尋問でサラフィ氏は、米国経由の資金で青年のリクルートを行い、またシリアにおける軍事行動を行っていた、と述べた」と当時、パキスタン紙「ザ・エクスプレス・トリビューン」が匿名情報として報じた。その消息筋は、さらに、「米国はいつもISの活動を非難するが、自国から同組織へ資金が流れることを止めようとしない」と語った。