日韓中サミットは成立、問題は残る

© REUTERS / Kim Hong-Ji日韓中サミットは成立、問題は残る
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日本のマスコミは日韓中サミットの成功を高々に喜び報じた。これに対し、有名なロシア人東洋学者のアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使は、サミットは成立したものの、日中、日韓の関係のそれぞれにある問題は消えてはいないとして、次のような見解を表している。

「サミット自体は作戦的な成功といえる。3人の首脳は3年半もの間顔を合わせず、もちろんのことトライアングルには深刻な関係の冷却化が認められていた。ここで事実上出来上がっていた状況とは中国と韓国が一枚岩となり、日本に対抗する戦線を組むという構図だった。こうなった一番の原因は歴史的事実とその評価の問題、および日本の軍事政策に対する中韓の不満姿勢だった。だがソウルのサミットの具体的成果となると、結果的には少ない。協力についてのフレーズや様々な分野での相互関係強化の必要性について語る裏には、それぞれが未だに独自の立場にとどまっていることが透けて見える。」

「スプートニク」:日本は今、そしてTPPフォーマットへの加盟以降、中国、韓国との関係を三国関係のプロジェクトの枠内でどう構築していくだろうか?

パノフ氏:「実際にTPPプロジェクトがどう実現化されていくかについては現時点ではなんともいえない。これは長い時間がかかるだろう。パク大統領は毎日新聞からのインタビューに、韓国はTPP加盟の長所、短所を未だに評価している段階で、それが終了したら、どうするかを決めると答えている。中国にとってはTPP加入は経済の調整に国家が強く実権を握っていることから全く論外だ。アジア太平洋地域では明らかに2つの大きな陣営が形成されつつある。1つの陣営の中心には米国が、もう片方の中央には中国がいて、諸国はどちらの陣営に接近するか、あるいは両方に加盟するか選択を迫られるが、これには経済的規則のかなり複雑な内的適応が要される。ところで韓国の貿易取引高は今や対日よりも対中国のほうが多い。」

「スプートニク」:日本が米国が南シナ海において主導する中国抑止政策に加わったことは、 日中関係にどう影響していくだろうか?

パノフ氏:「詳細のより鋭敏な問題はソウル・サミットでは回避された。その開始前、中国は日本に対し、安倍首相が南シナ海の領海問題を取り上げないよう警告を発していた。一方でパク大統領も毎日新聞からのインタビューのなかで、相互信頼の拡大の必要性を口にし、航路の問題は平和的手段に限定し、国際的な規定に遵守して解決すべきと語っている。韓国は南シナ海の情勢緊張化に反対している。それは韓国の輸出の30%およびエネルギー資源輸入の90%がこの海域を通って運ばれているからだ。状況を先鋭化せず、他の解決法を見つけよという韓国のこの呼びかけは中国にのみ向けられたものではない。日本や米国に対しても発せられている。だが南シナ海における行為を将来、規定し調印されることは検討されていない。このため今回の三国会談はもちろん再開されてはいるが、具体的成果を出していないのだ。」

「スプートニク」:パク大統領は安倍氏と「慰安婦」問題の受け入れ可能な解決策を模索する対話を続けることで合意した。日本はこれに謝罪し、賠償金を支払う構えだろうか?

パノフ氏:「日本の立場は今のところ何も変わっていない。ところが韓国にとっては妥協的な解決は受け入れられない。なぜなら韓国社会は非常に憤慨しているからだ。韓国社会は、米国在住の韓国人の支援を感じている。このためこの件に関する交渉は長びき、簡単には結果はでない。」

「スプートニク」:だがそれでも日本、中国、韓国は問題や意見の相違を脇にどけ、三国間の経済プロジェクトを推進していく構えにあるか?

パノフ氏:「この三国は経済協力を積極的に行っている。日本には韓国が経済協力で中国と過度に結びついてしまうのではないかという危惧感がある。だが日本は自分のほうから自分をこの地域で孤立させ、中国、韓国そしてロシアとの関係で困難を味わっている。日本は孤立状態から脱却しようとしているが、新たなアプローチをとろうとはしていない。ソウルでのサミットの前日、パク大統領が日本の近隣諸国の中でアジア太平洋地域における日本の軍事的役割を憂慮する声が高まっていることを指摘したのは、偶然ではない。この問題については中国、韓国の立場は近い。このため日本は中国、韓国に、日本の軍事政策は根本的に変わることはなく、日本は第2次世界大戦の結果を認める構えであるということを信じてもらうため、少なからぬ努力を行わねばならない。だがこれは日本にとってはかなりきついことだろうと思う。」

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