一方で最近、共同体の創設は、より多くの、そしてより深刻な問題に直面している。モスクワ国際関係大学付属ASEANセンターのヴィクトル・スムスキー所長は、それはまず、南シナ海における中国と米国の対立が激化したことに関連しているとの見方を示している。領有権争いは、拡大ASEAN国防相会議の議題ではないとされるが、マレーシア国防相は、南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)周辺で中国と米国の艦船が行っていることについて双方が説明することに期待すると、事前に語っていた。
スムスキー所長は、次のように述べているー
一方でフィリピンは別の立場を表している。フィリピンは、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に中国を提訴した。フィリピンは3つの問題に関して仲裁を求めている。1つ目は、1982年に採択された海洋法に関する国際連合条約に基づいて、『九段線』と呼ばれる境界線内の海域、海底、その下にある資源に対する歴史的権利に関する中国の主張を無効とすること。2つ目は、中国が南シナ海の岩場やサンゴ礁周辺に排他的経済水域を設置することを求めているのは、国連海洋条約に反しているということ。3つ目は、中国によるこれら上記の主張が、フィリピンの主権的権利と管轄権を侵害しているというものだ。
また中国とベトナムの関係も悪化しており、ベトナムと米国の軍事協力を再活性化させた。一方でスムスキー所長は、現在、南シナ海における航行の安全に脅威は存在しないとの見方を表している。しかし南シナ海は海上テロの主な危険水域の一つであり、ここで航行に対する深刻な脅威が発生した場合、すぐさま世界経済に影響が及ぶはずだ。しかしスムスキー所長は、今は現状を変えることに関心が持たれていないと指摘し、次のように語っているー
「米国と中国の軍事対立の脅威を誇張するべきではない。米国も中国も軍事対立に関心を持っていない。一方で、両国は、譲歩していることを見せようとはしていない。状況は不快だが、戦争の危険性はない」。