2015~18年の石油輸出は最低で年間2億3350万トン、最高で2億3750万トンという。報告書で強調されているのは、今年の石油生産が増大するという点である。先の予測では今年の生産量は去年とほぼ同じで5億2000万トンほどとされていた。成長の理由は一般に、税の軽減、ルーブル安、石油産業への膨大な投資が挙げられる。国家エネルギー安保基金分析課長アレクサンドル・パセチニク氏のデータも楽観の種だ。
今年、もうひとつの予測が証明された。ロシアは石油が低価格であるという条件の中で生き抜くすべを学んでいる、というものだ。現状で有利になっているのはまず、中小石油企業だ。彼らは新たな発掘地探査を行なう用意を整えている。
同時に、石油産業が旧体制どおりだ、と語ることも正しくないだろう。低価格は量的に大規模な投資案件の計画に深刻な影響を出した。しかしそれを低価格だけのせいにするのはあまり公正なこととはいえない。いくつかのファクターがあるのだ、と強調するのはアルファバンクの主任アナリストアレクサンドル・コルニロフ氏だ。
「複数の企業がプロジェクトを延期した、と断定せざるえを得ない。その代表例が、北極の地質学調査だ。昨年紅海の海溝掘削に成功して以来、状況は行き詰った。第一の要因は制裁、第二は石油が相当低価格であること。それさえなければ北極海の産地の開発も正当化されただろう。加えて、採掘困難地における進展が深刻に鈍化している。これも制裁や、石油が相当低価格であることを要因としている。これらに加えて、複数の企業が旧来の油田への投資を大幅削減したこと。これも、石油の現価格で相当プロジェクト推進が経済的に困難になったことと関係している。今の価格では石油回収方法が全く採算に合わなくなっているのだ」
「ロシアにおけるビジネスは段階的に、石油市場は何も金鉱脈などではなく、それを使って大儲けが出来るようなものではない、との考えに寄っている。彼らは石油以外の部門への資金投下を強めている。これをもとに、石油暴落の影響は将来的にロシア経済にいい影響を与えるのでは、と思っている」
石油収入が滞っている。これをビジネスだけでなく、政府も利用しなければならない。結果的に、様々な分野で働く用意のある企業に対する政府からの現実的な援助が行なわれる。しかし、そうした作業が多年を要し、極めて困難であることは理解する必要がある。