武貞教授「日本は、竹島を日本の固有の領土だと考えていますし、今まで出てきた歴史的な資料はすべて、竹島が島根県の島であることを証明するものです。韓国自身も、李承晩(韓国建国時の初代の大統領)時代に、1951年9月のサンフランシスコ講和条約会議に出席することを要求しました。大韓民国は35年間日本に統治されたという苦しみがあるので韓国を戦勝国のリストに加えてほしいーという主張をしたのです。そのときに、韓国は、アメリカの国務長官に対して竹島と対馬を韓国領にしてほしいという申し入れをしました。アメリカに拒否されましたが。
つまり1948年の韓国建国時から1951年のサンフランシスコ講和条約まで、韓国は『竹島は韓国領ではないし、実効支配もしていない』と思っていたわけです。韓国が軍事力をもって竹島を占領したのは、朝鮮戦争時です。国連軍が竹島を警備していましたが、朝鮮戦争のときに警備が手薄になって、そこへ韓国軍が入り、実効支配が始まったわけです。韓国の人たちは本音を言えば、竹島は韓国領でないことはご存知なのです。しかし、日韓の間の感情のすれ違いがからみ、竹島については日本と韓国の考えが一致しないという説明になっています。
日本は一貫して竹島を日本領だと主張してきました。日本の方からこの問題に対して新しいアクションを起こすとなると、紛争という形になる可能性もあります。これは日本としては避けたいところです。ですから日本の方からアクションを起こすということは、まずないでしょう。
ただ野田政権時に李明博大統領が竹島に上陸したことを受け、日本政府は数ヶ月かけてハーグの国際司法裁判所に、竹島の日本の領有権を確認する、国際司法裁判の訴訟手続きの書類を作成しました。しかしこれについては韓国側が、訴訟されても受け入れないーと主張しています。裁判が始まらないとわかっている書類を、あえてオランダに送付して更に日韓関係を悪くする必要もないだろうということで、今、書類は外務省の金庫の中に眠っています。韓国が、他の色々な分野で日本に対して誠意のある姿勢を示さない、という事情が重なっていけば、日本は国際司法裁判所に書類を提出することになるでしょう。」
聞き手:徳山あすか