河野太郎・規制改革大臣が日本社会の高齢化にともない外国人労働者の受け入れに関する議論を始めては、と提案したことで、この問題が政府内に浮上した。予測では、2040年までに日本の65歳以上の人口は全人口の36%に上る。
保健・年金制度への負担が急速に高まるに連れ、日本にとって労働力の不足がいよいよ現実的な脅威になっている。しかし日本政府は、状況を一変させ、より貧しい国々から移民を大量に受け入れることに努めてはいない。
東京にある「ルスキー・クラブ」のミハイル・モズジェシコフ代表はこれについて次のように語っている。
「日本にもイラン難民がやってきた時代があった。20年ほど前、イラン・イラク戦争のときの話だ。『砂漠の嵐』作戦が行われたあ と、米国の保護のもとで、日本は建設現場で働いていたイラン人の一部を受け入れた。ところが時間がたつうちにイラン人は日本中にちらばり、その多くは麻薬 売春など違法ビジネスに手を染めるようになった。
もうひとつの例を話そう。日本社会は高齢化しており、老人の介護者が必要とされている。この仕事はきつい上に報酬が少ない。だから 日本人の中でこの仕事を進んでやるものは少ない。そこでフィリピン、マレーシア女性を集めるプログラムができた。彼女らは少ない給与で老人の面倒を見てく れるからだ。ところがこのプログラムも失敗した。なぜなら女性らは勉強に勉強を重ねたものの、結局誰も日本語の試験に合格できず、大半が故郷に帰ったり、 他のサービス業へ散り散りになってしまったからだ。そんなわけでこうしたイラン人移民、アジア女性の介護者の例を見ると、なぜ日本政府が日本への外国人受 け入れに躊躇するか理解できる。」
今年、日本の法務省は、移民問題に関する新5ヵ年計画を発表。それによれば、単純労働力に関する割り当て分として、わずかに受け入れ可能な移民数が増加した。また、看護士として日本で働くことを希望する外国人の受け入れ簡素化への計画は存在する。しかし、専門家によれば、これら方策は現状では非常に限定的な性格のものにとどまっている。日本社会の閉鎖性は今のところ経済的・社会的問題より優勢であるらしい。