ザハロワ報道官は、記者団から、米国が主導する有志連合とロシアのシリア紛争解決に向けたアプローチの違いについて質問を受け、シリア情勢の深刻さを強調した。ザハロワ氏によると、力ずくで中東の政権を交代させようとする動きは、テロとの戦いを妨げるだけでなく、シリアの国家体制に終止符を打ち、「地域で起こる出来事の破壊的な連鎖の中で最も危険な要素になる」恐れがある。ザハロワ氏は、そのためロシアは、シリアの国家機構を維持することを主張し、アサド大統領の進退はシリア国民が決めるよう呼びかけていると指摘した。
ザハロワ氏は、イラクにおけるテロの多発は、米国がイラクの内政に介入した後に始まったと述べ、次のように語った―
「中東地域は、さらにもう一つのブラックホールに耐えることはできない。地域は、赤々と燃え上がる複数の国の集まりに様変わりするだけでなく、全体が爆発する恐れがある。そしてその後、どうなるのか?『IS(イスラム国)』が何よりも喜ぶのは、カオスの領土がもう一つ増えることだ。なぜならISが望んでいるのはそれだけだからだ」。
ザハロワ報道官はまた、シリア紛争の解決は、ロシア政府とは異なり、米国のパートナーたちにとってはリーダーシップの問題なのだと強調し、次のように語った‐
「私たちはいかなる時にも、誰も誹謗中傷したことはなく、シリアにおける他の国の行動に関する見えすいた偽情報に取り組んだことはない。高い壇上から、どこかの情報源を引用して、見えすいた嘘を発表したことは一度もない。いま米国がやっていることは、まさに、そう呼ばれるものだ」。
ザハロワ氏は、このような現実を隠蔽する試みは、深刻な結果を招く恐れがあるとの見方を示した。なぜなら、国際紛争を解決するために用いられている今の方法は、今後、世界秩序に影響を与えるからだ。ザハロワ氏によると、国際法を遵守しなければ、世界的な混乱が引き起こされる。
ザハロワ氏は、次のように語った‐
「その証拠として、例えば、一つの事実を挙げることができる。それは、3-4年前には、欧州で平穏な暮らしをしていた人で、遠いシリアの出来事が自分の身に降りかかると想像できた人は一人もいなかったということだ。もし私たちが今、70年前に策定された一般的な規則が存在することを理解しなければ、数年後に世界が混乱状態に陥ったとしても驚くに値しない」。