アブデルハミド・アバウド氏はモロッコ出身。ベルギーのベルビエ市におけるテロ未遂事件の首謀者と見なされている。今年1月、ベルギー警察は同市に急襲をかけたが、同氏は逃亡に成功。2月、既に自身はシリアにいるとした上で、ベルビエ市のテロ未遂事件の犯行声明を出した。7月、氏は、シリア向け外国人戦士のリクルートについて、欠席裁判で禁固20年の判決を受けた。また氏はシリアに13歳の弟を連れ帰っている。メディアはこの少年を「世界最年少のジハード主義者」と呼んでいる。
アバウド氏は2月、IS機関紙に対し、ベルギーでの未遂に終わったテロのあと、無事にシリアに帰ることに成功した、と述べた。ベルギーでは別のテロリスト2名とテロを計画していたという。
氏はテロの詳細を物語った。氏によれば、難儀はしたものの、結果的にシリアからベルギーに戻ることが出来た、という。ベルギーで氏は協力者とともに武器を手に入れ、家を見つけ、そこを隠れ家としていた。しかし強襲がかけられた結果、協力者は殺害され、氏のみが逃亡に成功した。
氏によれば、ベルギー警察は氏を逮捕したという。それまでに氏の写真は既にメディアに出回っていた。アバウド氏によれば、協力者がビデオカメラで撮影した映像が、のち西側のジャーナリストに売られたのだという。しかし警察は、写真とは別人との判断の上、アバウド氏を釈放してしまった。
結果的に氏は、一連の諜報機関の追跡にあいながら、シリアに逃げ延びた。
Avenir誌によれば、ベルギーの捜査当局は、アバウド氏はパリのテロの首謀者である可能性があると見ている。少なくとも、自爆テロ犯の一人イブラヒム・アブデスラム氏とアバウド氏は、2010年および2011年の刑事事件でともに名前が挙がっている。