「TPP合意調印後、アジア太平洋地域におけるパワーバランスが変化した。米国が中国を経済的に孤立させるシステムを創りつつあることが明白になった。両巨頭間の軍事的火花も見える。『行きたいところに行く』という原則のもと中国の人工島付近の水域に軍艦を派遣するという米国のスキャンダラスな決定を例にとろう。中国は地域で恐れられており、やはり米国の政治的支援に期待がかかっているのだ」とシモノフ氏。
ロシアもまた今協力に呼ばれてはいないが、しかしそれは、ロシアが座して手を拱いていなければならないということを意味しはしない。「ロシアは、たとえばエネルギー資源の購入者として、中国に均衡をもたらすことが必要だ。インドや韓国や日本があればなおさらだ。日本は伝統的にペルシャ湾からの輸入に頼っているが、マラッカ海峡越しの航行にはリスクがある。サウジアラビアは欧州への供給に力を入れており、それにロシアはアジアへの輸出増大をもって答えている。石油の新銘柄であるESPOはDubaiとの競争力を持っている。多角化は望むところだ。ただ、APECサミットを舞台にそのような仕事に取り組めるとは思われない。
APECには米国の影響力が大きい。そして、プログラムには、あまりに儀礼的な問題が多すぎる。しかし方向は間違っていない。ただ、地域のほかのパートナーにも留意しながら、形成されつつある中国の孤立を利用するべきだ」とシモノフ氏。