IAEAによれば、いま世界には440基の原発がある。うち250が30-40年で稼動期限を迎える。これが原発の寿命なのだ。30-40年が経過すると原子炉は停止させられるか稼動期限を延長されるかする。原発をいかに停止させるかという問題は、世界全体にとって喫緊なものとなっている。
原発が稼動してから70年間、ロシアでは核燃料再利用や放射性廃棄物取扱い、原発の停止といった方面でユニークな技術が開発されてきた。ロシア企業の経験は外国市場でも関心を集めるかもしれない。日本が福島第一原発事故処理についてロシアの原子力技術を適用する可能性について、ドロフェーエフ氏は次のように述べた。
「ロシアには壊れた燃料の摘出に関して膨大な作業経験がある。たとえば、ハンガリーのパクシ原発の放射能漏れ事故の処理や、AMB型原子炉の燃料の取扱いなどを例に挙げられる。こうした技術を開発するために、ロシアでは、壊れた核燃料の摘出と安全な再加工について、膨大な作業が行なわれた。こうしたロシアの経験は、福島第一原発でも利用可能だろう。また、溶解した、壊れた燃料の振る舞いをモデリングする技術も利用できるだろう」
福島第一原発の事故処理については、燃料の抽出以外にも問題は山積している。現在福島第一原発敷地には80万立方mもの汚染水がたまっている。来年3月末までに汚染水中のトリチウムを除去する装置が造られることになっている。入札にはロシア企業「ロスラオ」も参加している。同社は経済産業省主催の国際入札で上位3位に入っている。