川村氏のこの声明に対し、ロシア人東洋学者でモスクワ国際関係大学で教鞭をとるドミトリー・ストレリツォフ教授は以下のようにコメントしている。
日本政府は長年にわたり、日本は責任ある国であり、グローバルな問題の解決を引き受けることができると語ってきた。ところが今、これに疑問が呈されている。そのため日本指導部はなんとかこの状況を変えようとしており、昔からのやり方で問題を金で、つまり、テロ闘争の課題解決に経済支援を拡大することで解決しようとしている。日本は国際組織に金を支払うだろう。おそらくそれは国連を通じて行われると思う。緒方貞子氏はかつて、国連難民高等弁務官を務めていたため、日本はこの経験を使用することができる。だが、難民を受け入れるという話は出ていない。」
「スプートニク」:川村外務報道官は、日本はテロリストを相手にした軍事作戦には参加しないと言った。安倍首相は自衛隊の全権を拡大し、日本国外の作戦に参加できるようにするための法改正を行っている。その日本がなぜ、自衛隊を国際的な対テロ作戦に使うことができないのか? テロリストの怒りを買い、その標的になることを恐れているからか?
ストレリツォフ氏:「日本は実際の戦闘行為が行われている場で問題解決に参加する心積もりはまだない。それに日本人軍人の生命に直接的な脅威もある。このため国防に関する法律が改正されても、平和維持ないしは反テロ作戦の枠内でさえも日本が何らかの紛争に入り込むことには話が及んでいない。日本の主権が脅かされ、国益や国民の生命が脅かされる恐れがある場合は自衛隊が使われる可能性があるが、それ以外のケースについては現段階では話が及んでいない。」
日本は人類が直面した最重要問題の解決に多額の財政支援を気前よくおこなってきた。国際平和維持活動にも多くを支払ってきたが、ここ数十年はこうした作戦に直接的に参加しないとして日本を批判する声が高くなってきている。批判の嵐を避けるため、日本は自衛隊の国外での使用を禁ずる法改正の見直しに走った。現在、これを阻むものは事実上ない。だが心理的なバリアは存在する。
日本の社会は、自衛隊員が戦死するという事態を受け入れる覚悟がない。ある程度大人数の難民を引き受ける覚悟もない。日本がテロ対策に行う財政、人道上の貢献を国際社会が十分なものと認めてくれるかどうか、わからない。だがかなり確信を持っていえるのは、テロ闘争の日本のこうした参加はテロリストには気に入らないだろうということだ。ということは日本も対テロ措置の強化にむけて準備は必要になる。