これについて東京大学大学院・総合文化研究科助教の溝口修平氏は、スケジュール変更については悲観も楽観もする必要はないとし、ロシア側が日本の呼びかけに応じて会談の時間を作ったことは、日本と接近するメリットがあるとロシアが見なしている証拠だと指摘した。
溝口氏「プーチン大統領の年内訪日が無理だろうということは双方とも、会談する前から感じていたと思います。日本側は2プラス2(外務・防衛閣僚協議)再開についても提案していますし、日本側もロシア側も、ウクライナ危機が起こる前に築いた両国関係がなくならないように、少しずつ動かそうと努力している状態です。ここで両国関係を途切れさせ、10年位前の状態になることは避けたいのです。今は日本も動きづらく、大きな決断がしにくい時期です。双方にとって良い環境になるまで待つ、少なくとも日本側は待つために、可能な範囲内で色々なチャネルで接触を続けています。プーチン大統領に無理に急いで来てもらっても成果がなければ意味がありませんので、首脳レベルではなく、少し下のレベルでコミュニケーションを続けていこう、ということだと思います。2012年、プーチン氏が大統領に就任した直後に日ロ関係は盛り上がりを見せましたが、今はまだそのレベルまで戻っていません。」
スプートニク「プーチン大統領は安倍首相に対し、ロシアの一地方でも会うことができれば、とロシア訪問を示唆しました。日本のネット上には、これは文字通り理解してもいいのか、あるいはプーチン大統領はオブラートに包んだ言い方で、訪日を断っているのではないか、と指摘する声があります。」
溝口氏「ロシア側が、そこまで日本を軽視しているとは思いません。『日本と接近することのメリットがある』とロシア政府の中で考えられているからこそ、アンタルヤでの首脳会談も調整したわけです。ロシアは、全然やる気がないとしたら、わざわざ会って、オブラートに包んで断ろうとすることはないでしょう。」