第一はシリア紛争。「イスラム国(IS)」の拡大に仏、露、米をはじめ世界の大国のほとんどが憂慮を募らせている。しかし、これら諸国を結びつける連合が出現したとしても、同盟諸国間にシリアに将来をめぐる観点の相違から衝突が起きかねない。外部勢力間の軍事行動がシリアで活発化し、そこに急速にトルコ、イラン、サウジアラビアが引き込まれ、それが世界の別の場所に拡散する可能性がある。
二つ目の「震源」はインドとパキスタンの多年にわたる反目である。反目はいつ緊迫化するかも知れない。もしパキスタンが資金援助を行う過激派組織がムンバイにおけるテロのようなものを実行したなら、インドは堪忍袋の緒が切れるだろう。もしパキスタンが大敗を喫したなら、最後の手段に戦術核兵器を使用するかもしれない。すると紛争に米国が参入してくる。米国は近年インドとの関係を深めている。対して、パキスタンを守らねばならないと決心した中国が参戦してくるかもしれない。
第三は、東シナ海である。この2年、同地域では、中国と日本が尖閣諸島をめぐり危険なゲームを行っている。もし中国と日本の間で紛争が激発すれば、相互防衛協定で日本とつながった米国としては、参戦しないわけにはいかない。そして中国は地域の米軍基地を攻撃することで抗戦するだろう。
米国と中国の海空軍間の危険な対立から、南シナ海の情勢も緊迫化している。どちらか一方が自制心を失えば、おそるべき結末が迎えられるかもしれない。米中戦争はそれ自体として破局的だが、そこにさらに日本とインドが介入するかもしれない。
最後の「震源」はウクライナである。ウクライナ情勢は、NATOがどれだけこの国の情勢に介入する用意があるかということに多くの点で依存している。もしロシアがNATOの侵略を確信したなら、露はNATOの動員の機先を制するべく行動するだろう。NATOのいずれかの国に攻撃があり、または深刻な脅威があれば、NATOは軍事行動を開始する理由を得るだろう。
ナショナル・インタレストは、諸国は今日、戦争の危険がどれだけ身近に迫っているか、十分に理解していない、と指摘する。世界を代表する強国の首脳らは、注意深くあり、危機のエスカレートを予防しなければならない、と同誌。