「ロシアは経済的観点からも安全保障の観点からも地域における非常に重要なプレイヤーである。周知のように、ロシアはテロ組織との戦いにおいては、極めて強硬かつ断固たる立場をとっている。よって、ロシアがテロと戦うことを妨げる行動は、強硬な対抗措置を呼ばないではいない。ロシア機の一件は極めて具体的な事例である。両国の主張が食い違っているだけでなく、トルコはロシア機を撃墜したのであり、パイロットが一人死亡しているのだ。このような状況ではロシアも軟弱に振る舞うことはできない。ブレーキをかけたり、見て見ぬふりをすることはできない。現状ではトルコはまさに、より落ち着いて、慎み深く、なるべく状況を和らげるように振る舞い、ロシアとの関係を回復するための措置をとるべきだ」と元大臣。
元大臣は、トルコの行動は明らかに均衡を失したものであり、トルコに対する現実的な安全保障上の脅威はなかった、としている。「ロシア機の行動はトルコの安全保障を脅かすようなものではなかった、ということを忘れてはならない。客観的になってみよう。ロシア機がトルコ領空に入ったのは30秒、あるいはわずか20秒ほどのことだ。トルコを狙った攻撃であるなどとこれを評価することはできない。これは単に飛行軌道のわずかなずれだ。それなのに我々は、自国国境を守るためにといってラジカルな措置をとったのだ」
両国関係の早期正常化は可能か、との問いに、元大臣は否定的な回答を行った。
「むろん、今回の一件は、両国関係に長らく沈殿するだろう。ロシアの、言ってみれば、トルコにおける休暇に対する信頼は台無しになった。我々は短い期間でこれを修復することはできないだろう。以前は私も、トルコを訪れるロシア人ツーリストの数はドイツを抜いて一位になるのでは、と期待した。しかし今や、少なくとも当面は、むろん、そんなことは考えることもできない」