トルコのダウトオール首相は、トルコとEUの合意について、トルコ・EU関係の「新たな始まりだ」と指摘した。なおEUはトルコに拠出される資金の消費を厳格に管理する方針。
EU加盟国の首脳は11月29日、欧州とトルコの外交官たちが約1か月にわたって準備してきた合意を締結するため、ブリュッセルでトルコのダウトオール首相と会議を開いた。EUは、トルコが欧州との国境を「管理不能な難民にとってより通過しづらい」ものとすることを約束することも望んだ。観測筋は、欧州諸国が、数十万人のシリア難民に関する旧世界の決定による欧州への負担を、全力で制限しようとしていると指摘している。
合意では、現在トルコ国内にいるシリア難民220万人のために、EUが30億ユーロを支援することが重要な要素となっている。この支援金は、難民の生活レベルの向上や、難民がギリシャの島を経由してEUへ流入しようとせずにトルコに残るよう説得するために使用される。
また専門家たちは、トルコが会議で欧州の隣国との関係を復活させるために、真剣な外交努力を行ったと指摘している。消息筋は、その結果、トルコはEU加盟交渉に新たな弾みを与えることに成功したとの見方を示した。近いうちにもトルコがEU加盟を果たすと考えるアナリストたちもいる。一方でフランスのオランド大統領は、トルコのEU加盟プロセスを「早める、あるいは遅らせる」理由はないとの声明を表した。AFP通信は、欧州の消息筋の話として、特にキプロスやギリシャは、トルコのEU加盟を望んでいないと報じた。
またトルコが自国の国境管理を強化した場合、大勢のトルコ人が1年間にわたって欧州シェンゲン圏のビザなし体制の恩恵を受けることができる。
欧州の首脳らに「欧州を不安定化させている」難民流入を抑制する、と約束したダウトオール首相は、「今日は、我々のEU加盟プロセスにおける歴史的な一日だ」と述べた。
なお首脳会議で、トルコによるロシア機スホイ24撃墜事件が協議されたかについては報じられていない。