伝えられたところによると、米中政府は、サイバー犯罪に対応するための行動指針を策定し、「ホットライン」を設置することとなった。次回の対話は、来年6月に中国の北京で開かれる見込みだ。
ハイレベル対話は、サイバー空間における戦争が米中関係の最も切迫した問題の一つとなったことを、両国が懸念していることを物語っている。ワシントンで開かれたハイレベル対話には、中国側からグゥオ・ションクン公安相、米国側からジョンソン国土安全保障長官などが出席した。彼らがサイバー犯罪について協議するのは今回が初めてではない。9月に行われた中国の習国家主席の米国訪問の前にも、双方は会談している。なお当時、米国の連邦政府機関および民間企業に対する中国人ハッカーらの攻撃から利益を得ていた中国企業に対して、米国が制裁を発動する危険性があったため、習国家主席の米訪問の実施は危ぶまれていた。中国は、ハッカー攻撃への関与を断固として否定し、中国もサイバー攻撃の被害を受けていると主張した。グゥオ公安相は秋、この問題による中米関係の新たな悪化を避けることに成功した。米国による制裁は延期され、習国家主席の米国訪問は成功裏に終わった。しかし、問題は残った。そのため、同じメンバーが再び、それから3ヶ月を待たずして、サイバー空間における「ゲームのルール」に関する対話を開始したのだ。ロシア連邦大統領附属連邦政府通信・情報局の元専門家で、競合情報に関する専門家のアンドレイ・マサロヴィチ氏は、サイバー犯罪対策に関する中米対話をめぐる状況について、次のようにコメントしている-
「私は、状況が進展する中で、ポジティブと言える傾向が複数みられることを指摘したい。一つは、米国がサイバー空間に自国の法律を適用しようとしたことだ。しかし近年、これは上手くいかないことが分かった。米国は、サイバー空間にロシア、中国、その他のプレーヤーがいることを認めることになった。2つ目は、様々な国がサイバー軍やサイバー兵器をつくることで劇的に進歩したことだ。米国の独占は終わった。これはよいことだ。3つ目は、サイバーセキュリティに関する二国間会合および多国間会合が開かれ始めたことだ。米国は、中国と今行っているような話し合いを、ロシアとも必ず行うようになるだろう。ロシアは、韓国や中国と対話し、欧州は日本と話し合いをする。すなわち様々な組み合わせによる二国間会合がたくさん開かれ、そこでサイバー空間におけるゲームのルールが策定されるということだ。しかし、複雑な法的問題が存在する。それは、サイバー攻撃の源とは何か?どのようにしてそれを特定するのか?ということだ。例えば、サイバー攻撃を行っているのは明確な目的を持った特定の人物であり、ウイルスに感染したコンピューターではないということを、どのようにして証明するのか?、ということだ。なぜならコンピューターの利用者は、自分のコンピューターから自動的に攻撃が行われていることに気づかない可能性もあるからだ。要するに、法律上の問題はたくさんあり、恐らく中国と米国のハイレベル対話でも、この問題に話が及んだと思われる」。
ワシントンで開かれた米中ハイレベル対話で、両国はサイバー犯罪に対応するための指針に合意した。これはまだ意向について述べられたメモランダムにすぎない。しかしこの方向におけるあらゆる行動は、私たちをサイバー空間の平和に少しずつ近づかせる。